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KEEP ・YOU ーレオンにー

ファンシティに着いたクロ―ド一行。

彼らは久しぶりに町に来たせいか、大いにはしゃいでいた。

束の間の逗留にすぎないのだが、安らげる場へたどり着けた事が心をうきたたせていた。

もちろんクロ―ドもその一人だ。

「あそこの角の宿屋をとっておくからな、それじゃ解散」

彼の声に皆が応とうなずくと、それぞれが趣くところへと足を運んだようでその場には誰もいなくなっていた。

クロ―ドはファンシティホテルへ向かって歩きだした。

フロントで部屋割りを決めて宿代を先に払うと、外に出た。

宿から出ると日差しは思いのほか明るく感じられた。

クロードは日差しに瞳が慣れてくるまでじっと佇んでいた。

そして、おもむろにさて、どうしたものかと辺りを見まわす。

少し離れた場所でレオンがクロ―ドを伺うように見ていた。

レオンはクロ―ドに声をかける機会を見計らっていたのだ。

「お兄ちゃん一緒に…」

〝町を見て回ろうよ!〟と、言わないうちに、いつの間にか現われたレナが、クロ―ドの腕をつかんだ。

そしてレオンが言いたかった事をすらりと言ってしまった。

「クロ―ド、一緒に見て回らない?」

「え…う、うん」

とっさの事だったので思わずクロ―ドは頷いてしまった。

レオンの方はと言うと、レナがいた事に気がつかなかった自分のうかつさより、クロ―ドが頷いた事ばかりを責めていた。

ほんの数秒にすぎないのに沢山の思いが頭の中で交錯する。

レオンは半ば、おもちゃを取り上げられた幼子のようにクロ―ドをなじっていた。

「…僕が…僕が先に言ったのに…」

思わずつぶやいているのにさえ気がついていなかった。

普段のレオンならそんな大人気ない事は言わないだろう。

しかし、今日は違っていた。

そして、レオンの中で何かがはじけた。

「お兄ちゃんのバカッ!」

思いきり大きな声で叫ぶと走り出した。

「…レオン…」

クロ―ドは追いかけようとした。

「どうしたのかしら…?」

何の躊躇いもなくレナは言った。

その言葉がクロ―ドに歯止めをかける事になろうとは、レナは知る由もなかった。

それ処か彼女は何も気が付いていないのだ。

先程から、クロ―ドが一人きりになるのをレオンが待っていた事を。

そして、「街へ行こう」と、話し掛けていた事さえも。

知っていたらレナだってこんな事は言わなかっただろう。

レオンの事は、そんなに気にする事でもない。

そんなレナの様子にクロードが躊躇していると

「さ、行きましょう?クロ―ド」

一刻も早く、クロ―ドと二人で町を眺めて歩きたいレナはクロ―ドを促す様に言った。

レオンを追いかける機を逃してクロ―ドは、只レナの言葉に頷くしかなかった。

「うん…」

クロ―ドはレオンが走り去った方を見たが、そこにはすでに彼の姿はなかった。


「はぁ、暇ね。どこかに特ダネでも落ちてないかしら?」

職業柄、彼女はいつもペンと手帳を携帯していた。

 けれど、そう事件が起こるはずがない。

平和そのものとしか言いようがない町だった。

ファンシティでは、ゆったりと時が流れていた。

小さな子ども達は風船を手に走り回っている。

昼下がりのせいか、のんびりとテラスでお茶を楽しんでいる若い夫婦の姿もあった。

少しお腹がめだっている。夫は妻を気遣いつつ会話を楽しんでいる。

彼女は本当に幸せそうに微笑んでいる。チサトは少しの間見とれていた。

他の場所を見てみると、アシュトンが店先のタルと運命的な出会いをしている。

セリ―ヌやノエルもみんな、それぞれ今の時間を楽しんでいた。

何か自分だけ取り残されたような複雑な気分になった。

いや、取り残された、と言うよりも、この町で事件を探そうとしている自分が馬鹿に見えた。

チサトは足を止め、深呼吸に近い、大きなため息をついた。

ふと、御酒でも、飲もうかな、店の看板が目に入った。

「気晴らしに酒場にでも行こうかな…」

彼女はその看板の店へ入って行った。

「あれ?」

入るとすぐに、奇妙な光景が目に飛び込んできた。

この場に不釣合いな十歳そこそこの可愛らしい少年が、大人に混じってカウンタ―に座っているのだ。気になったチサトは少年をじっとみたが、ふさぎ込んでいるのか、うつむいていて顔がよく見えない。

しかし、そばにある飲みかけのキャロットジュ―スで間違いなく、レオンであると判った。

少し近寄ると、しゃくりあげる声で泣いているのが判った。

「レオンじゃないの…」

何かあったのだろうか。

いつも誰かのそばにいるのに、一人きりで泣いている。

ましてや、人前で泣いている事なんて今までになかった。

チサトは彼に近づくとポンと肩をたたいた。

「こんな所でどうしたの?レオン?」

首だけ動かしてレオンはチサトを見据える。

頬に伝う涙をふこうとしたハンカチを握ったまま動かなかった。

「おねぇちゃん…」

涙にぬれた顔に、震えた、情けない声だった。

相当の間泣いていたのに違いない。

チサトは彼をみて、ドキリとした。レオンの泣き顔があまりに可愛かった。

〝うわあ。撮りたい“

チサトは我に帰り自分に言い聞かせた。

〝シャッタ―をおろしたいとこだけど、それ所じゃなさそうよ、チサト〟

なぜなら、レオンの態度もいつもと違っていた。

いつもなら、かまうと面倒くさそうに返事するだけなのに、今日の彼はチサトに何か訴える様な目をしていた。

「どうしたの?レオン!何があったの?」

身を乗り出し、チサトはレオンの顔を覗きこむ。

レオンは俯いてしまった。

泣いているところを見られたのが恥ずかしくて、すぐに返事が出来なかった。

が、泣き出しそうになるのを堪えながら、自分の感情を押さえるように、静かに呟いた。

「お兄ちゃんは…僕の事が嫌いなのかなぁ…」

そう言うのが彼の精一杯の言葉だった。

嫌われていないと思いたくてもその根拠がなかった。

さっきだって、さっさとレナの方に振り向いていったし、あの二人はいつだって一緒にいる。

やっぱり、クロ―ドはレオンの事を単なる仲間としてしか見てないのだろう。

それどころかレナと一緒にいるのに僕が邪魔になってる?。

考えれば考えるほどレオンは不安になっていた。

レオンのすぐ隣にチサトは座りながら語りかける。

「どうしてそう思うの?」

「だって…」

言葉が止まった。

必死に声が震えない様にと、泣き出さないようにと堪えているのだ。

チサトもレオンの心情を察したのか、彼が喋り出すのを黙って待っていた。

いくらかして、レオンはチサトの方を向き、続けた。

「だって僕が先に、お兄ちゃんを誘ったのに…レナお姉ちゃんと二人で行っちゃうんだもん」

今にも目に溜まった涙が流れ落ちそうになっている。

きっとこれ以上の言葉をレオンに言わせたら、涙が枯れ果てても泣き続けてしまうだろう。

チサトはレオンの言葉をかみ締めると、簡単な言葉ではあった、適切な返事を返した。

「それはひどいわねぇ…」

優しい言葉にレオンは下唇をかみ締める。

(情けない)もちろん、自分の不甲斐なさがだ。

クロ―ドの事をヒドイと言わせてしまった自分が、哀しかった。

それもこれも、今のレオンの姿が原因である。

あの場で走り出さなければ、こんな所で泣く事もなかっただろうに。

でも、彼にはそうするしかなかったのである。

チサトは云々と、何度か頷いていたが何か思いついたらしく、両手をポンと叩いた。

「そうだ!私がクロ―ドを呼んできてあげようか?」

自分の名案にチサトは目を一段と輝かせた。

レオンも大きな耳を少しだけ動かした。

「そう言う事は、直接本人に聞いた方がいいでしょ?」

チサトはレオン言い聞かせるように言った。

それに、これは、レオンの気持ちになって考えた結果だ。

きっとレオンも、云と、頷いてくれるとチサトは踏んでいた。

先程よりは、少し明るい顔つきでレオンは答える。

「でも来てくれるかなぁ…?」

案の定、レオンはチサトの思った通りの出方をしてきた。

「大丈夫、来てくれるわよ、あなたが信じなくてどうするのよ!」

確かにそうであるが、レオンにとってそれは、とても重大な事だ。

が、彼の頭の中に〝もしも〟という言葉が浮かんでくる。

グズグズと返答に悩んでいる、レオンの踏ん切りの悪さに、チサトは痺れを切らしたようだ。

「宿屋で待っていなさい。すぐに呼んできてあげるから!」

そう言い残すとチサトは台風のようにそこから出ていってしまった。


「キャ~これ可愛いっ!」

店内にレナの声が響く。

いつも戦いばかりに身を投じてきたせいで、アクセサリ―を身に着ける事のないレナは、嬉しそうにそれらを見つめ、歓声を上げている。

それに旅の間では中々、こういった場に遭遇できなかったレナはクロ―ドと二人きりになれて、とてもドキドキしていた。

クロ―ドはレナの傍らにじっと立ち尽くしていた。

レオンの事が気懸りで仕方なかった。

なぜレオンよりレナの方を優先してしまったのだろうか。

やはり、追いかけるべきだったのだろうか。

今、レオンは何をしているのだろうか…。

そんな事がとめどなく、脳裏に浮かび上がる。

アクセサリ―を手に、子どものようにはしゃいでいるレナ。

クロードの瞳にはレナの姿が、ただ、ぼんやりと映りこんでいた。

彼女はその中から気にいった物を一つ手に取ると、

「クロ―ド、似合うかな?」

と、自分の胸につけながらクロードに聞いてみた。

当然レナとしてはクロ―ドに〝似合ってるよ〟と、言ってもらいたいのだ。

どんな女の子でも、一度は好きな人に言ってもらいたい言葉である。

「あ…うん、似合ってるよ。レナ」

慌ててレナを気遣い、作り笑顔でクロ―ドが答えた。

「…」

レナはアクセサリ―を元の場所に戻し、ため息混じりでこう言った。

「レオンの事が心配?」

「そうかもしれない…」

レオンの事ばかり考えていると気がついたクロ―ドは、もう隠そうとはしなかった。

「そっか…」

一番聞きたくなかった言葉だった。

レナは一瞬、とまどった。

でも、ふん切りのつかない自分も嫌だった。

それ以上にクロ―ドの踏ん切りのつかない姿が嫌だった。

それは、レナが本当にクロ―ドが好きだったから・・・・・。

「レオンの所へ行ってあげなさい」

レナは自分の気持ちに決着をつけるようにクロードに言い募った。

「私の事はいいから…行ってあげて!」

「レナ?」

この時、初めてクロードはレナの顔を見た。

悲しくて、優しい顔をしていた。

レオンの事ばかり考えていて、レナの事を思いやる事が出来なかった。

自分のあいまいな態度でレナに悲しい思いをさせてしまった。

そして同じようにレオンにも。

(曖昧な態度じゃ、傷つけるばかりだよな。自分の気持ちをはっきりさせなきゃ)

やっと踏ん切りがつくと、クロードは走り出した。

クロ―ドは心の中でレナに何度もアリガトウという言葉と、ゴメンという言葉を繰り返した。


「…これでよかったんだよね…」

レナはつぶやいた。

「どうしたんだ?」

突然、誰かに声をかけられた。

振り向いてみるとそこに瑠璃色の髪の彼がいつのまにか立っていた。

「ディアス…」

どこからどこまで見ていたんだろうか。聞かれていたんだろうか。

きっと、とてもひどい顔をしていたんじゃないだろうか。

黙りこくっているレナの様子に

「どうしたんだ?」

デイアスはもう一度声をかけた。

その言葉でディアスが何もかも気がついていることがレナには判った。

レナが泣き崩れるより先にディアスが手を差し伸べレナを抱き寄せた。

昔と変らぬ優しさだった。

甘えられる胸に縋った事でレナの張り詰めた糸が切れた。

そのまま、レナは大声をあげて泣いてしまった。

どれくらい、時が経ったのだろうか。

やがてレナは落ち着きを取り戻すと、まだこぼれる涙を指で拭いながら、

「ありがと……見っとも無いとこ見せちゃったね……こんなとこを皆に見られたら誤解されちゃうね」

「かまわない」

(あっ…!)

嘘がつけない無口でぶっきらぼうな人、ディアスがかわらず、そこにいた。

「もう少し…このままでいてもいい…?」


色々な店を覗きながらチサトは町中を歩き回っていた。

これもクロ―ドを捜すためである。

「いないわねぇ…」

チサトが肩で息をしている。その様子でもう随分探し回っっているのが判った。

「全く、どこに行っ…」

急に曲がり角から人影が飛び出してきた。

避け様としたチサトが見た人影こそ、捜し求めるクロ―ドだった。

「え…ク、クロ―ド!」

そのまま、駆けて行こうとするクロ―ドを慌てて呼びとめた。

「ど、どうしたんですか?」

大声で呼ぶチサトに虚をつかれたようにクロ―ドは立ち止まると踵を返し、もどかしげにチサトに駆け寄った。

チサトも焦っていた。何の説明もなしに、イキナリ、

「とにかく、レオンの所に行ってあげて!宿で待っているから」

と、クロードに告げた。

(レオンが宿で待っている)

そこにレオンがいると判ると、レオンの涙をためた顔が目に浮かんできてたまらなかった。

ほんの少し先に見えている宿屋がはるか遠くに感じられた。


宿屋へ着くと直に、フロントに行ったクロードは。

「さっき、露草色の髪の男の子が来たはずなんですけど、どの部屋に入りましたか」

「あぁ、そこの階段を上がって、通路の奥から三番目の部屋ですよ」

宿の主人は少年の様子から部屋に鍵をかけているのが察せられたのだろう。

黙って鍵を差し出した。

階段を眺め、大きな息をつくと、クロードはレオンに向かって歩きだした。

ノックする音が部屋に響く。

けれど返事はない。

もう一度ノックしてみるが、やはり返事はなかった。

出来ればレオンの手でドアを開けて欲しかった。

先ほど主人から渡された鍵でドアを開けた。

ベッドの上に蹲っている、黒い影が見えた。

クロ―ドは後ろ手でドアを閉めると、鍵穴を探り、鍵をかけた。

もうレオンに逃げられたくなかった。

「レオン…」

クロードに呼ばれても、レオンは顔を上げなかった。

どうしてもクロ―ドの顔を真っ直ぐと見られなかった。

子どもっぽい態度をとった後ろめたさと、〝嫌われている〟という、不安が目の前で現実になりはしまいか、それを今つきつけられる。

クロードに向い合うのが怖かった。

それでなくても、暗く沈んだ顔を見られたくなかったのだろう…

いずれにせよレオンの動く気配は全くなかった。

レオンの返事を待っていた、クロ―ドの口から自然と言葉がこぼれ落ちた。

「レオン…ゴメン」

クロードの思いがその一言にこもっていた。

その思いが伝わるとレオンが顔を上げ、薄闇から返事をした。

レオンの中の不安がどっと崩れさった。嫌われてなんかいない よかった。

大きな安堵が訪れるとクロードに対する切ない思いが頭をもたげてくる。

でも、これ以上ぶつけられない。

なのに、もっと深くもとめられたい。 

弟なんかじゃなくて、兄なんかじゃなくて…

「ク::お兄ちゃん…」

クロードの名前を呼ぼうとした。

でも、レオンの中で押し留めるものがあった。

踏み出したい。でも崩しちゃいけない。クロ―ドの為に。なぜなら自分が男だから。

何一つ生み出すものがない、継いでゆくものがない不毛の世界にクロ―ドを引っぱっちゃいけない。

ましてや、僕が::。

レナが現れなかったら弟を演じ続けていられたかもしれない。

でも自分にはクロードしかいない。

たとえ一生弟のままでもいい…彼を見ていたい。

だから、いつものレオンに戻らなきゃ。

だから、これ以上求めてはいけない。

弟のレ―ルからはずれたこの失態をどう取り繕おうか。

「ごめん…わがままいって。どうかしてたね。レナと二人きりになれて、うまくいった?僕のせいで気まずくなってたらどうしょうかって心配してたんだよ。レナはかわいいし、優しくて大人だしそれから…」

だんだん声がうわずってくるのが判る。

うまくごまかさなきゃ、自分の気持ちを悟られてはいけない。

「なによりもああいう人、おにいちゃんによく似合って」

自分の言おうとした事に、レオンは胸をさされ言葉につまり、手で顔をおおった。指のすきまから涙がつたう。

黙って見ていたクロ―ドは、レオンの自分に対する気持ちに確信をもった。

「レナはパーティの仲間だ。それだけだ。お前は違う。お前は…」

レオンは顔をあげて言葉の続きを聞こうとした。

思いのほか、クロードが傍にいた。クロ―ドはレオンを引き寄せながら

「お前は…」

「…〝お前は〟…何?」

クロ―ドはやさしくレオンに腕をまわした。


酒場に笑い声がこだましている。

お酒を飲んで、上機嫌になっているチサトの笑い声だ。

客は殆ど酔いつぶれていた。

酒場のドアが開き、ドアに付いている鐘がなると、その音につられてチサトは振り返った。

青年が入ってきた。

それがクロ―ドだった。

チサトは様子を窺った。

レオンと仲直りした人間が彼をほうって一人でこんな所に来るのはおかしい。

(うまくいかなかったのだろうか?)

幸いクロ―ドはチサトにまだ気が付いていない。

チサトはじっと、クロ―ドを観察した。

ほの暗いテーブル席に座った彼の顔は先ほどの逃げた小鳥を追うような不安げな顔はしていない。

長年の仕事がらで色んな人の幸不幸の見分ける事は、出来る。

満たされているのは間違いない。

でも何か違う。不安?迷い?後悔?なにかある。

レオンに知られたくない、ぶつけられない、あるいはレオンといる事で感じてしまう悩みで一人になりたくなってここに来たのか。


クロ―ドはwの水割りを注文した。

椅子にもたれかかりながら先ほどまでのことを反芻し始めていた。

簡単に言ってしまえば不発だった。

レオンが自分に対してかなりの感情をもっていることは判った。

クロ―ドも跳び上がるほど嬉しかった。

これが年頃の女の子相手なら今頃は行き付く所まで行きついて、抱き合ったままベッドの中で眠りこけているか、まだまだと何戦目かを交えている事だろう。

レオン相手に確かにできない事ではなかった。

でもクロ―ドに迷いが生じた。

レオンを抱きたいという感情が高ぶっていた。

欲望に押されたクロードは宥めすかすようにしてレオンのモノを口に含んだ。

その時、レオンは小さな声を漏らした。

が、可愛い、愛おしいという思いの中に突然〝レオンは男なのだ〟という思いが湧いた。

このままいけばレオンは猫だ。

まちがいなく僕がシテだ。

僕は僕のままでいいが、レオンはまだ、自分の中の男の性さえ知らない。

猫にまわったものがどんな事をされるのかさえ判っていない。

判らない事をいい事に自分の激情で突っ走って、レオンを不毛な性に堕としこむのか、自分さえよければ、ましてやまだまだ子どもなのに。

何も判らない幼さを利用して自分さえイケればいいのか?

そう思った時、気持ちより先に自分のモノが萎えていくのが判った。

自分がとてつもなく嫌な人間に思えた。

レオンは与えられる快感に抗う事も出来ないまま、クロードの状態には気がついてなかった。

「お前自分でやったことあるんだろ?」

罪悪感を多少なり埋めたかった。

自分がレオンに性の快楽を教えてしまったのではなく、これ位のことはもうレオンも判っている。

だからお互いの欲求に応えたのに過ぎないと。

案に相違してレオンは、〝ううん〟と答えた。

先ほどの罪悪感とは裏腹にクロ―ドの中に勝ち誇ったものが生まれた。

何もかもコイツに芽生えてゆくものは僕からのものだ。

(ならば…)

レオンのモノを含みなおすと一気に頂点まで押し上げていった。

レオンが声をたてまいとしていることは判っていた。

こらえる声が長く漏れた時、レオンのモノが脈うつのが判った。

(いったな)

愛おしさと、ちょっとした征服感を感じながら、レオンの放ったものをクロ―ドは飲みこんだ。

その頃にはクロ―ドも回復はしていた。

レオンはとろっとした顔をしながら

「僕もおんなじ事しなきゃいけない?」

と、聞いてきた。

クロ―ドは返事に詰まった。

レオンはこんな事ぐらいじゃない。

クロ―ドの中はまた堂々巡りを繰り返してしまう。

「もう少し、大人になってからでいいよ。まだまだこんなもんじゃないんだ」

そう告げてからクロ―ドは黙った。

その言葉は悦楽をエサにして引き込もうとしている様であった。

多分、レオンももっと素敵なんだ、と言われている様に思っただろう。

が、事実はレオンの捉えている事とはあまりにかけ離れている。

クロードもそんな事を望む自分を見せなくてはならなくなる。

それをレオン自身が、受止められるか、どうか。

「はやく、そうなればいいね。とても素敵だったものね。お兄ちゃんだってして欲しいよね」

クロードの思いを知る由もなくレオンはそう言うと少し顔を赤らめた。

その様子に思い惑っていたはずのクロードの目が奪われた。

快楽を与えてくれた者に服従してゆく女の性(さが)を確かにレオンは持っていた。

猫だ。間違いなく。猫だった。つまり女方、いや女よりも女を感じさせていた。

それに夢中になっていく自分。レオンを離さなくなるだろう。きっと一生。

そしたらレオンは一生、猫のまま:::。

だったら、なおのことレオンをこんな世界に引き込んじゃいけない。


「はぁ~ん?」

チサトはクロ―ドを観察していたが、よく判らなかった。

妙にうっとりしたかと思えば急に何かに怒った顔になり、そして自分に嫌気がさして堪らないと、いう様にため息をついた。百面相を見ているようで面白かったが、きりがなさそうだった。

「あれぇ、クロ―ド!」

さも今気が付きました、という素振りでチサトはクロードに声をかけた。

「レオンは一緒じゃないの?あは、お子様タイムじゃないかぁ~。こっちにいらっしゃいよ!」

クロ―ドはチサトの横に座る。マスタ―に2杯目を合図して、チサトに問いかけた。

「チサトさん。どうしたんですか?」

空になったグラスを片手にチサトは答える。

「それはこっちの科白よ~!未成年者のくせしてお酒を注文するなんて~。ま、いいわ。マスタ―、御代わり」

グラスを置き、続けた。

「どうしたのよ、こんな時間に?」

「…いえ、ただ寝付けなくて。今日、色々あったから」

クロ―ドとチサトの御代わりをマスタ―は静かに置いた。

クロ―ドはそのお酒を少し飲む。

「…ねぇクロ―ド、相談にのるわよ?」

瞳はグラスに入っている氷を眺めいていたが、刺すように強い口調だった。

「チサトさん…、レオンの事で」

どこまで話したらいいのか?

急にクロ―ドの言葉も重いものになった。

彼のためらいを払拭するためにチサトは自分の認識をみせることにした。

「で、彼とは行きつくとこまで行けたの?」

かなり踏み込んだ質問だとは思ったが、二人の仲を判っていることを彼に知らせないと何も話さなくなりそうだった。

そこの所から受け入れられていると判ったクロ―ドは案の定ほっとした顔を見せ、話し始めた。


そして、かれこれ、5杯目の御代わりである。

「フ~ン。ちょっと言っていい~?」

チサトは職業柄いろんな人間をみてきていた。

その中には当然、同性愛者もいれば、かなりの通称ロリコンといわれる者も見てきた。

それでも皆それなりに真剣さがあった。

だからクロ―ドとレオンのことにもなんの偏見も感じなかった。

(それより、問題がある:::)

クロードの話を聞き終わるとわざと軽い調子で言った。

「だったらあ、あなたレオンに、女を求めてるってことじゃなあい?女の子のかわりにレオンにナニさせようってしたわけ?好きねえ」

「えっ:」

思いもよらぬ言葉だった。

(確かレオンの中に女の部分をみつけて有頂天になっていた。でもそれはつまり、そういう事なのか?)

チサトの指摘に、クロードは。考え込んでしまった。

(確かにレオンの中に女を見ていた。)

「でも…そうだとしたら、レオン、可哀相ね」

(チサトの言う通りレオンを女の子の代わりにしているのか?、そうだとしたら、最低な人間だ)

チサトにいわれた言葉をクロードは否定できなかった。

その事がなお、クロードの気分を重くした。

クロードは運ばれてきた水割りを一気に煽った。

「ちょっと、やめなさいよ!もう随分飲んでるのに、そんな事しちゃ持たないわ」

「えぇ、判っています…平気です」

チサトにそう答えるとクロ―ドは店を出た。

重い足取りで宿へ歩き出した。どれだけか歩くうちに、何かフワついた感じがしてきた。

チサトの言う通り、無茶飲みした最後の一杯が効いてきて、ひどく気分が悪くなってきた。

こんな姿でレオンの所へ戻れない。

どこか、座れる場所を探した。

公園のベンチを見つけ座ったものの、まだフラフラした。

「まいったなぁ」

夜風にあたっていると、少し、気分が楽になってきた。


不意に声がした。

「クロ―ド?」

聞き覚えのある声だった。

「どうしたの?」

レナだ。

「どうしたって…その、レナこそ…」

「あ、えっとね、ディアスと一緒だったんだけど…彼が教えてくれたの。〝あいつなにやってんだ〟って。気になるなら自分もくればいいのに」

デイアスがクロードに気がついて〝気になるならいってこい〟と、クロードのことを教えてくれた。

昼間のこともあったからクロード一人だったのが、余計に気になった。と、レナが言う。

「ふ~ん。デイアスらしいや」

「デイアスのことはいいわよ。それより、あなた一人って、つまり、あの、レオン…のこと…は…?」

聞きづらかったが、尋ねてみると〝うん〟と返事をしたきり黙っていた。

「どうしたの?らしくないよ?なにかあったの?」

レナに、そういわれるとクロードは酔っていたせいもあってか、先ほどチサトに自分が話した内容も、チサトに言われたことも事も洗いざらい話してしまった。

黙って聞いていたレナだったが、口を開いた時には怒り出していた。

「何が不毛の愛よ…笑わせないでよ。だいたい貴方は異常よ!異常のくせして、正常の振りをしようとするから無理がいくのよ!弟のように思おうだの、女の子として好きになっているのかもとか、異常さを認められないからって、正常な振りをしないでよ!ええ、そうよ。確かに貴方は神を裏切る冒涜者よ?貴方は地獄へ落ちるわ!」

レナは少し声を和らげた。

「私が神だったら男をどうしようと、年のいかない子を陵辱しようが、そんな事は、いいわ。何よりも許せないのは、レオン一人で地獄へ行かせようとしている事よ。そんな事までしといて。それに、だいたいあの子が女の子でも男の子でも、捕まえていたんじゃないの?チサトに貴方の何が判るって言うのよ、バカ!そんな言葉に惑わされて、貴方も馬鹿じゃないの?レオンも困った人を好きになったものね」

「その通りだ…」

「レオンはもう、貴方の事を受け止めていくわよ。ぶつけられない恋なんて、一人よがりもいいとこよ」

クロードがレナになにか言いかけた。が、黙った。

(レオン。君に受け止められたい。僕をぶつけたい)

確かにそう思う。黙っているクロードに

「堕ちるなら…二人で堕ちなさい…。レオンを置いて行ったら許さない」

そう言い放つとレナはディアスのいる方へかけていった。レナの胸にかすかな痛みが走った。

それは、最後まで残っていた恋のトゲが抜けた痛みだった。

[さよなら、クロード]

レナはそうつぶやいた。

レオンは生暖かいヌルッとした感触で目がさめた。

「夢精?:::。昼間あんな事があったのに…」

どうかしている。何か今までと違うモノが体の中で急に増殖している気がする。

いやむしろ昼間あんな事があったせいかもしれない。

(クロ―ドに気が付かれたらどうしょう。まだ足りてないのかって、彼…もう一度)

自分の想像にレオンはうつむいた。

そんな事を望んでい自分がいる。

だが、とにかくは着替えなきゃいけない。

レオンはクロードを起こさないように、そっとベッドに起き上がった。だが、

「えっ?」

―― クロードがいない。――


「どうだった?」

デイアスはレナが少し興奮しているのが判った。

「バカよ!あんな幼い子に、おまけに男の子相手に」

デイアスは聡かった。レナの言葉で何もかも悟っていた。

「だから、彼も苦しんでいるのだろう?」

レナは一瞬困った顔をした。

「私、ひどいこと言っちゃた。」

「二人で地獄に落ちろか?」

「??なんで、判るの?」

デイアスは苦笑した。こんなディアスを初めてレナは見た。

「お前は戦闘の時、切りたくない相手を切る時に自分の迷いを吹っ切るように叫んでいる」

「きまり文句言ったわけね」

「でもな、お前が想像しているより男が男を受け入れるのはきついぞ」

レナはどきりとした。クロ―ドにああ言ってはみたものの、レオンが可哀相だった。

たった十二歳なのに…なのにレオンを苦しめてしまう事へしむけた自分だった。

「それってなによ。貴方には想像でなく判っているって事?……それと」

レナは咳払いをした。これを言うと逆にやり返されそうだったから。

「言え」

「つまり・・じゃあ女が男を受け入れるのは簡単って事?」

デイアスはそう言われると突然笑い出した。かまわずにレナはつづけた。

「レオンのこと可哀相って思っているのに、そんなクロ―ドの事も許せないのに、私すすめちゃたの。レオンにぶつけなさいって。ぶつけられない恋なんて自己満足。ひとりよがりもいいとこだって」

そう、ディアスに恋をしていたあの頃自分の心のときめきだけが嬉しくて思いひとつ告げる事も出来なかった。

駄目だったらどんなに辛いか、自分が傷つくのが怖かった。

デイアスを受け止めたいとか、自分を彼に受け止めてもらおうと考えた事すらなかった。

「駄目ね、レオンに負けてるよね。レオンなら受け止めるよね。可哀相なんて言ったけど、レオンの方がもっともっと大人だよね」

「うまくいくさ」

「そうね」


レオンは考えている。どうしてクロードがいなくなったのか?

あの後、

「お兄ちゃんもして欲しいよね」

と、尋ねた時、

「それもわるくはないんだけど、僕の方のはやり方が違う」

と、クロードは答えた。

「どうしたらいいの?」

と、聞いたら少しだけ嫌な顔をした。でもそのあとすぐ

「僕はレオンがいいんだ」

って言ってくれたんだもの…。

でも、クロードは僕みたいに出していない。あんなに気持ちいいのに::。

僕がしてあげれなかった。

彼の望むやり方が判らなくてもせめて彼がしてくれたやり方ぐらい真似できた…。

なのに、馬鹿みたいに、〝して欲しいよね〟なんて、僕だってそんな風に言われたらきっと〝いらない〟って怒るよ。

大人になんかならなくてもしてあげる。

今度は彼のやり方だってしてあげる。

だから僕を置いて行かないで早く帰ってきて。


そんなレオンの思いが通じたのだろうか、おぼつかない足取りの気配がする。

静かに皆を起こさないように気遣って歩いている。

あんな風に気遣うのは彼に間違いない。

やがて部屋の前に立ち止まると、鍵を差し込む音がしてドアが開いた。

(帰ってきた)

レオンは暗闇の中で息を殺していた。ドアが開いたとたん、独特のニオイがした。

(お酒のニオイだ)

ほんの時折だったけど、クロ―ドは酔うと、やたらとレオンと肩組みをしたり、わざと顔を近寄せて〝ハァ―〟っと酒くさい息を吹きかけたりした。

いつもより近い距離でかまわれる事が多かったから、クロ―ドが酔っているのは好きだった。

暗闇の中、クロ―ドは灯りのスイッチを探していた。

レオンを抱きたかった。

(寝ているよな)

せめて、レオンの寝顔を見たかった。

もっと見たいのはあの〝声〟を漏らしていく、瞬間のレオンの顔なんだけど::。だがオーラルの場合、まず見えない。

(…どうにかなんないかな…。)

「チキショウ、たってきちまいやがった」

酔うと冗舌になる、朗らかな酒だ。

話し相手がいないせいか、クロ―ドは自分のモノに向かって話し始めた。

「よ―しよし、辛いだろうが、いい子にして眠りな。大体、お前を慰めてくれるレオンも眠りこけてんだから」

(やっぱり!)

自分の不甲斐なさにレオンは泣けてきそうになる。

やっとスイッチを見つけたクロ―ドが見たものは半べそをかきかけた顔のレオンだ。

(ありゃ…)

起きていたのか。いないのに気が付いて泣いていたのか。

一日でいったい何度泣かしたか。

「ゴメン…」

クロ―ドが謝ろうとした途端、レオンが胸にとびこんできた。

「ゴメンね、ゴメンね。僕が子どもだったからお兄ちゃんにちゃんとして上げられなくて。僕もさっきのお兄ちゃんみたいにしてあげたい」

(ハァ~ン?……!)

突然クロ―ドは合点がいった。さっきの独り言を聞いていたんだ…。

「それから、それから、お兄ちゃんのやり方で、あの、その、えっと…」

〝イク〟という言葉にレオンはためらっていた。言葉は何となく知っていた。

クロ―ドの口の中に自分のモノを出してしまった時かんじた快感。

〝あっ、これがイクってことなんだ〟って初めて知った

判ったらなおの事、そんな言葉を言いにくくなってしまった。

「だからその、お兄ちゃんのやり方で、ちゃんとお兄ちゃんも〝イッテ〟欲しい。大人になるまで待たなくていい。僕はもう…」

そう言うと、レオンはクロ―ドのモノをズボンの上からそっと触った。

クロードにもう迷いは無かった。

クロ―ドは右手でレオンのその手を握ると、左手でズボンを緩めて、掴んだレオンの手を導いて自分のモノを握らせた。

「あっ…」

固くて、大きくて、温かい…。

(僕…の口の中に…入るかな?)

クロ―ドは同じようにレオンのモノをまさぐり、ゆっくり、愛撫しはじめた。

…クロ―ドはレオンの耳元でささやいた。心は決まっていた。

「さっき僕のやり方でって言ったけど、レオン、それはとても、君には辛いやり方なんだ。それでも、いいね?」

どこまで判って、返事をしているのか、クロ―ドの指の動きにピクン、ピクンと反応している。

「いい、いいよ…」

「本当はとても、悪いことなんだよ…もうレオン、後戻りは出来ないよ、それでも…いい?」

クロ―ドはレオンの一番感じる所に人差し指を当てると、細やかなタッピングを繰り返した。

レオンの〝それでも、いいんだ〟って言う返事はか細り、力のない声で、うったえてきた。

「お兄ちゃん、やめて、もう、ヘンニナリソウ…しびれてる……僕がお兄ちゃんにしてあげるって、言ったのに―」

そう、か細く言われてクロ―ドはチョット考えた。レオンの申し出をうける為にも汗を流したかった。

「レオン、お風呂はいろ…」

立っているのがやっとで、床に崩れ落ちそうになっているレオンを支えながらの愛撫は、さすがにしんどかった。

手を離すとレオンは崩れ落ちるように床に座り込んだ。

クロードはレオンを抱き起こして、

「シャワ―でも浴びよう」

そう言うと身に着けていたものを剥ぎ取るように脱がせた。

レオンの体は小作りであったが、肌はなめらかでつややかだった。

クロ―ドは浴槽にお湯を注ぎながら、シャワ―の栓を開いた。

〝来いよ〟そう促がすと、レオンはおずおずと近づいてきた。

シャワ―は二人にたたきつける様に降り注いで心地よかった。

少年らしい体の線、細い項と撫でた肩の線が妙に艶かしい。

レオンの項に顔をよせて舌をはわせると、レオンがビクッとした。

クロ―ドはチョッと驚いた。

だって、それだけでレオンが感じているのが判ったから::。

(こいつ…ひょっとして)

この場合どう言えばいいのだろうか?ひょっとしていい女になる…?いい男になる?…イイ猫になる。それもかなりの…。

しばらく、クロ―ドはレオンのうなじを堪能した。

征服の赤い印を付けられる時レオンはもっとはっきりと反応した。

舌をうなじから離し顔に上げると、レオンの赤い唇が目に入った。

これも僕のもの、僕を覚えさせてやる…。

されるがままになっているレオンの唇をすうと、クロ―ドは舌を細長く、尖らせてレオンの中に差し込んだ。

上あごの所を舌でくすぐる様に、なでる様に刺激を与えた。

舌が入って行った時レオンは一瞬たじろいだが自身の口の中、凡そクロ―ドの舌が届く所全てに与えられる感覚にレオンは酔っていた。

(キスがこんなものだったなんて…。)

しばらくすると、クロ―ドは唇をはなして、

「僕のを、吸ってみな」

と言った。

再び、クロ―ドの舌が入り込んできた。

レオンはいわれた様にクロ―ドの舌をすってみた。

(あっ)

レオンの中にうずまいた感情は奇妙なものだった。

まるでクロ―ドのモノをくわえ込んだみたいに思えたからだ。

(キスも形を変えたSEXだって事が、レオンにわかるだろうか。)

クロ―ドはレオン口から舌を抜くと、小器用にレオンの舌に愛撫をくわえ、レオンの舌を自分の方へひきよせて今度は逆にレオンの舌を吸ってみたり、吸いながら自分の舌をこするようにはわせてみたりした。

(あ、今度は僕のモノが愛撫されてる)

そんな錯覚を覚えながら、クロ―ドのしつこい程のディ―プキスに陶酔しているレオンだった。

レオンの様子を見ながらクロ―ドは考えている。

(そろそろ、いこうかな…)

でも、やめた。今日のクロ―ドは酒が入っている。酒が入ると少し感覚がにぶる。

なかなか、イケないのをクロ―ドは知っている。レオンが長く耐えられないだろう。

自分の気のイク直然まで待った方が、レオンを長く苦しめないですむ…。

ふと、気がつくと、湯船からお湯が零れ落ちていた。

クロ―ドはレオンをはなすと湯をとめた。

その一瞬の覚醒の間に、

(そうだ、僕が今度はクロ―ドにして上げるんだ…)

レオンは先程の錯覚でその事を思い出していた。

湯を止め振り向いたクロ―ドの腰に縋るとレオンはゆっくり、膝まずいた。

丁度、クロ―ドのモノが目の前の位置だった。

(どうしよう)

一瞬戸惑ったが、レオンは彼のものを、子猫がミルクを舐めるように下から上に向けて、なめてみた。

驚いたのは、クロ―ドの方だった。実際にレオンがここまでするとは、思ってなかった。

クロ―ドの今の体制では、レオンには咥え込みにくい。

クロ―ドは湯船の縁に足をひろげて腰をかけた。

クロ―ドの意図した事が判ったレオンは、クロ―ドの前にくると顔をうずめた。

今度はクロ―ドのモノが先程とは逆に、上から覗きこめる様な形になっていた

レオンがクロ―ドのモノを、かなり深くまで入れようとした時、思ったより以上にクロ―ドのモノが大きいのが判った。

これじゃあクロ―ドがしてくれたようにくわえ込んだまま舌をはわせたり、口でしごく様にして上下させたり、そんな事できない。

レオンの抱えた問題に気がついたクロ―ドは苦笑した。

「レオン、思いきり口をあけろ」

「…」

「どうした?」

「だって、そんな事したら、唾飲み込めないもの。お兄ちゃんのモノが僕の唾でベトベトになっちゃうよ」

「いいんだよ。そのほうが」

レオンはクロードのモノを再びほうばった。

(初めてにしては、まあまあってとこかな)

自分の股間に顔をうずめているレオンの柔らかい髪を撫でながら、クロ―ドは心地よい感覚に身を任せていた。

突くような鋭い快感を与える事も出来なければ、それを持続させておく術もまだ知らない。

低く緩やかな心地よさが波のように引いたり、押したりしていた。

だけど、そのうち覚えるだろう。猫としての感性は間違いなく本物だから。

クロ―ドはレオンの体を自分から九十度の場所へ引き寄せた。

そして、クロ―ドは体を後ろへ反らした。くわえたままのレオンの横顔がよく見えた。

上下するレオンの口からクロ―ドのモノが見え隠れする。

端正な顔付きのあどけないレオンが自分のモノを咥え込んでいる。

それをみているとクロードのモノが疼くように切なくなってきた。

(……レオンの中で、僕もイキたい)

「レオン、レオン、もういいよ」

「ゴメン、ぼくが下手くそだから」

「違う、もうレオンが欲しいんだ。レオンがいいんだ」

「?、だってぼくはここにいるよ」

「さっき、言っただろう。僕のやり方があるって」

クロ―ドの切ない程の眼差しでクロードがイキたくなってるのが判った。

不安ではあったがクロ―ドがそう望んでくれたのが嬉しかった。

クロ―ドはそんなレオンの横を摺りぬけバスタオルを取りレオンの体にかけると、タオルごと抱きすくめた。

横抱きにかかえるとクロ―ドはレオンをべッドに運んだ。

「どうするの?」

クロ―ドは何も答えない。

今までのクロードじゃない。レオンの聞いたことには答えずクロ―ドは言った。

「レオン、もう僕を止められないよ」

もう一度レオンは尋ねた。

「何をするの?」

クロ―ドはレオンを抱きしめ耳元でささやいた。

「僕のやり方を、教えてあげる」

そう言うとレオンのモノをいきなり口に含んだ。

(…あっ…また…)

波の様に押し寄せてくる快感が昼間の時と違い早く激しい。

昼間の時、クロ―ドは手加減してたのだろうか?

「だめだよ。もう…僕…イッチャウ」

あっ気ない程早くレオンは果てた。

ぐったりしているレオンの体を抱き起こすとクロ―ドはレオンにキスをした。

(これだけの事?)

レオンがほっとしていた。そして、どこかで少しがっかりしていた。

「???!!」

クロ―ドの口から生温かく、ドロッとしたものが流れ込んできた。

青くさくどこかに苦味がある…自分自身の放ったものだった。

(どうしょう)

そう思ったときクロ―ドが、

「そのまま僕のをなめろよ」

と、ぶっきらぼうに言った。

(えっ!)

クロ―ドのモノを口に含むとレオンの精液が彼のモノにまとわりついた。

「もう…いいよ…レオン…充分だ」

(どうしたんだろう。何か気にいらなかったんだろうか)

そう考えていると、今度はクロ―ドの手がレオンのモノをまさぐった。

萎えたばかりのモノがクロ―ドの指の動きで少しづつ回復してくる。

いったい何度クロ―ドはレオンを昇りつめさせれば気がすむのだろう。

クロ―ドはそんなレオンの隙を見て後ろ向きに抱き抱えると

(僕を受けとめろ。レオン)

そそり立つモノをいきなり、ぐっとレオンの中に押し込んだ。

先程、レオンに絡みつけさせた精液のぬめりのせいで、レオンが抵抗する間もなくクロードのモノがレオンの中に入りこんだ。

「ああああああ」

レオンは余りの痛さになにがおきたのか判らなかった。

「痛い…痛い…いやだ…やめて」

逃れ様としてレオンが体を動かした。

そのせいでレオンは逆にクロ―ドにくみしかれてしまった。

もう動けないレオンをめがけてクロードはここぞとばかりに自在に腰を動かした。

その動きでやっとレオンは自分に何が起きたのか判った。

「いやだ…いたい、やめて…いやだ…いやだそんな事::」

「レオン…静かにして…これが僕のやり方なんだよ」

そう言われるとレオンは黙った。自分が望んだ事がこれ?

「でも、いたい…クロ―ド…おねがい…やめて」

「駄目だよ。レオン…もうとめられない。」

クロ―ドは自分に言い聞かせるようにレオンに言った。

さらにレオンを押さえつけると、しなやかに彼のモノが動いた。

「いたい、止めて」

レオンの声がむせび泣きに変った。

レオンの中が彼を拒絶し押し出すようにうごめいた。

クロ―ドはそれに逆らう様にもっと深く押し込んでいった。

レオンの中が彼のモノを押し出し切れないまま、ぐうっと締め付けてきた。

―気持ちがいいー

その感覚を味わう様にクロードはじっとしていた。

快感がゆっくり沈んでゆくと、レオンのモノでもっと強く自分のモノを愛撫したくなった。

クロードが動きはじめると、レオンは、

「いやだあ…たすけてよう…」

弱弱しい声で言うと、えっえっと泣きだした。

が、クロードは押し寄せてくる快感に逆らえなかった。

レオンはうわ言みたいに痛みを訴え〝やめて〟と哀願する。

聞き入れられるものではないと判ると逃れ様と体をのけぞらした。

「レオン…いい子だからじっとして」

クロードはそう言いながらも、自分のモノをリズミカルに動かしている。

レオンがなおも逃れようとしたときクロードがレオンから少し身体を離した。

いきりたつ彼のモノがレオンの中に入ったまま、

「そんなにいや?」

悲しそうな声できいてきた。

「やっぱり、こんな事レオンにはまだ無理だったよね。ごめん」

そう言う声は切なげだったがクロードは思いきって、レオンから体も何もかも離そうとした。

あんなに密着していたクロードの方から体を離すようにされると、

「嫌だ…クロード。離れないで…大丈夫だから…僕を抱いていて。クロードが好きなんだ。だから…僕を離さないで…」

一気に叫ぶようの言うとレオンはクロードの体を引き寄せた。

まるで、体が痛みそのものの様に思えた。

「おとなしくしてるから…クロード」

そう言うと体の力を抜いた。

レオンのために一度は諦めようとしたが、クロードのモノが修まるわけがなかった。

途中でやめた切なさが輪をかけレオンを欲した。

「レオンがいいんだ。レオンの中で僕もイキたい」

クロードは存分に腰を動かした。

が、もうレオンは逃げようとしなかった。

痛みに耐えてクロードを受け入れているレオンがいじらしかった。

そして、愛おしかった。

「レオン大好きだよ。レオンが好きなんだ。」

クロードは快感に抗いながら、そう言うと急に動きを早めた。

レオンを宥める様にしゃべる声も吐息の中に埋もれた。

「レオン…だんだんよくなってくるんだ。いつか、僕のモノが欲しくてたまらなくなるよ。ああ」

クロードのいう事はレオンには信じにくいことだった。

「皆、初めはこうなんだ」

押してくる快感のせいで言葉がとぎれる。

「レオンに::欲しいって言…われ…て…み…たい…ン…だ。だから::」

クロードの声は荒い息にかわり、あとは聞きとれなかった。

寄せてくる絶頂の波に喘ぐようにクロードがレオンを呼んだ。

ぐっ、ぐっと細かな痙攣がクロードのモノに起きているのがわかった。

(イク)

そう言うと間も無しに振り絞る様なクロードの声が漏れクロードのモノがドクドクと波うつように動き、そして、静かに萎えた。

「クロード」

レオンはクロードの名を呼んだ。

〝お兄ちゃん〟いつもの呼び方がいつの間にか、変っている事には気付かなかった。

満足そうに体をなげだしているクロードを見ながら、ほっとすると愛おしさがこみあげてきた。

「ちゃんと、出来たよね…僕。ねえ…クロード」

レオンはクロードに甘えるようにしてよりかかっていった。

頂点に達したあとの満足感と快いけだるさが、まだ、クロードを包んでいた。

レオンの細い腰に手を絡めるとしっかり引き寄せ、二人の間に隙間一つ無いようにからだを重ね合わせた。

「素敵だったよ…レオン」

そう、返事をすると、覗きこんでいたレオンの目に涙が潤んできた。

「ゴメンな…レオン…辛かったよな」

「ううん…違うんだ」

「?」

「なんだか…嬉しくて」

クロードも嬉しかった。レオンがそう言ってくれたことも:。

「うん」

「それに::」

レオンがちょっと黙った。

「それに、何?」

「うん、最後の方でね。なんか…ヘンだった。痛いのに…なんか…キモチイイみたいな。なんか…ずううっと奥の方で鈍い感じだったから…。ヨク、ワカンナイケド」

クロードのものを痛みでなく快感として受けとめてゆけるようになれるのかもしれない。

そう思うとレオンは、なんだか、嬉しかった。

そんなレオンの耳元に、クロードは照れくさそうにそっと、ささやいた。

「ここで、もう一泊しようか」

クロードの言う意味がわかった。

「僕、もう大丈夫だよ」

そう答えて、レオンは急に赤くなった。                  

 (終)

―☆― エピローグ ー☆―


皆が朝食を食堂で取っている。

レナとデイアスは同じテーブルにいた。

肝心のクロード達は、降りて来てない。

「このまま出発するのかしら?もう少し逗留かな?クロードが来なきゃわかんないじゃない。まったく」

レナはデイアスに話しかけた。

本当はそんなことなんかどうでもいい。

やがてフワァーフワァーと、あくびを手で押さえながらレオンが降りてきた。

「あら、レオン…一人?」

「うん。クロードはまだ眠いって。えっとそれからもう一泊するって皆に伝えてって」

心なしか、もう一泊〟といったレオンの頬が染まったようにみえた。

「ふ~~ん、判った」

レナは聞き逃さなかった。

レオンがクロードと呼んでお兄ちゃんとは言わなかった事を。

 …そしてレオンの首すじの赤い印・・・

それはデイアスも同じだったらしく、レナにむかって親指をたててみせた…。


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