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神代文字

moji 和字考
敬光。寛政5年(1793年)。
ヲシテ の解説。

神代文字の存在の可能性についてはじめて言及したのは鎌倉時代神道 家である卜部兼方 である。兼方は『釈日本紀 』(1301年 以前成立)の中で、父・兼文の説として「於和字者、其起可在神代歟。所謂此紀一書之説、陰陽 二神生蛭児。天神 以太占卜之。乃卜定時日而降之。無文字者、豈可成卜哉者。」と述べ、神代 に亀卜が存在したとの日本書紀 の記述から、文字がなければ占いが出来るはずがないとして、何らかの文字が神代に存在した可能性を示した。兼方自身はその候補として仮名 を考えていたようであるが、爾来卜部神道の間では仮名とは異なる神代文字の存在を説くようになった。たとえば、清原宣賢吉田兼倶 の子)は『日本書紀抄』(1527年 )において「神代ノ文字ハ、秘事ニシテ、流布セス、一万五千三百七十九字アリ、其字形、声明 (シャウミャウ)ノハカセニ似タリ」と、神代文字の字母数や字形等の特徴についてかなり具体的に述べている。にも拘らず、室町時代 までは神代文字の実物が示されることはなかった。江戸時代 に入り、尚古思想が高まるにつれて、神代文字存在説もますます盛んになり、遂に神代文字の実物が登場するに至るのである。

江戸時代以降、神代文字として紹介された文字は実に数十種類にも及ぶ。それぞれ出典となる書籍や発見場所などの名前が付けられている。神代文字存在説側の研究としては、平田篤胤 が神代文字否定論から肯定論になって最初の論である『古史徴(こしちょう)』第1巻『開題記』所収「神世文字の論」その後の『神字日文傳(かんなひふみのつたえ)』とその付録『疑字篇』が著名である。また、鶴峯戊申 (つるみねしげのぶ)は『嘉永刪定神代文字考』において天名地鎮(あないち)文字を世界のすべての文字の根源であると説いた。三井寺(園城寺) 住職の敬光による『和字考』など、これらについて数多くの研究がなされた。その存在説を集大成したものが落合直澄の『日本古代文字考』である。

神代文字存在説への批判

隋書 』「卷八十一 列傳第四十六 東夷 俀國」に、「無文字 唯刻木結繩 敬佛法 於百濟求得佛經 始有文字」とあり中国は倭人に文字=漢字はないと認識していた。

鎌倉時代の『二中歴 』に「年始五百六十九年 内卅九年 号無く支干を記さず 其の間刻木結繩し 以て政となす」とある。

神代文字存在説への批判は江戸時代に既に湧き起こっていた。否定説を唱えた者としては貝原益軒太宰春台賀茂真淵本居宣長藤原貞幹 などがいるが、中でも伴信友 の『仮字本末(かなのもとすえ)』の付録『神代字弁』は実証的に神代文字を否定し、後世の偽作として排した。以下に否定説の主な論拠を挙げる。

  1. 古人の証言
    中臣氏とともに代々朝廷の祭祀を務めていた古代氏族である斎部氏の長老・斎部広成 は、『古語拾遺 』(808年 )において「蓋聞 上古之世 未有文字 貴賤老少 口口相傳 前言往行 存而不忘」と記し、漢字渡来以前の日本には文字が存在しなかったことを明白に述べている。卜部兼方を遡ること約500年前の貴重な証言として注目される。
  2. 字母数の問題
    橋本進吉 が『万葉集 』等の万葉仮名 で記された奈良時代 の文献の表記を研究した結果、上代特殊仮名遣 と呼ばれる特殊仮名遣を発見した。これにより、奈良時代には濁音節を含めて88音節存在したことが明らかとなっているが、神代文字のほとんどは字母数が平安時代に作られたいろは歌五十音図 と同じである。これは神代文字が平安時代以降に創作されたものであることを示している(ただし近年、上代日本語の母音体系は現代と同じ5母音であったとする学説(上代特殊仮名遣 )もあり論争の結論はでていないが、少なくとも上代日本語には中古日本語・現代日本語には用いられない仮名づかいが存在し、神代文字がそれに従っていないのは事実である)。
  3. ハングル との類似
    神代文字の中にはハングル と酷似したもの(阿比留文字 。また日文(ひふみ)とも。対馬の豪族・阿比留氏が関係するとされる)が存在する。ハングルは1443年 に考案されたものであるから、ハングルが阿比留文字を参考に考案された文字ということでもない限り、阿比留文字もそれ以降のものであると解される。平田篤胤 によるハングルを元にした捏造とする説がある [5]

以上の論拠により、神代文字は信憑性に乏しく、後世の偽作であるというのが学界の定説となっている。

また、近年の考古学 の進歩により、昔の遺跡や古墳などから文字の書かれた土器・金属器・木簡などが発見され、こういった出土物に神代文字を記したと見られるものが発見されていないことも、漢字渡来以前に日本に固有の文字はなかったとする説の補強材料となっている。

なお、神代文字やそれによって書かれた古史古伝 が存在することをもって日本に超古代文明 が存在していた証拠とする者もいるが、「日本にかつて高度な文明が存在し、独自の文字を使用していたならば、そもそも漢字 を輸入する必要がないはず」とする反論がある。また、これらの古史古伝の中にはしばしば近代 以降の用語・概念・絵画・字体などが見られ、偽書 の疑いが濃厚であることも、神代文字存在説には大きな否定的材料となっている。

一方で、伊予文字、秀真文字として神代文字のひとつとみなされている[1] [2] ヲシテ には、11万字におよぶ古文書(ヲシテ文献 )が確認されており、記紀との3書比較による先行性や[3] 、その文字形によって大和言葉の文法や語源を説明しうる[4] 、ということから、他の神代文字と異なり実在した古代文字ではないかとの説が提示されている。

著名文献

  • 1) 『上古文字論批判』 新村 出
    • 1898年、東京帝国大学在学中に著された。神代文字実在論に最終「判決」を下すために執筆され、西洋の言語理論を応用し、古今の文献を博捜・渉猟した精緻なものである。末尾には、明治初年に登場した『上記』への言及も見える。
    • 収載:①『徹底検証古史古伝と偽書の謎』 (別冊歴史読本77号) 新人物往来社(2004年P272-297) ISBN 4404030770 
    •    ②『新村出全集』第1巻の『単行本未収載編』(P563-602)
  • 2)『國語学概論』 橋本進吉[1] 
    • 1925年に「岩波講座日本文学」として刊行され、1946年に「橋本進吉著作集」として再刊された国語学の歴史的名著。橋本は『上代特殊仮名遣い』の研究を大成し、奈良朝期には八母音であるとする説を主張した。神代文字は五母音のため、この説と合致しないとしている。
  • 3) 『所謂神代文字の論』 山田孝雄
    • 明治以後の国語学の成果を活用し、神代文字論の発生と展開をあとづけて否定した。神宮文庫伊勢神宮 )所蔵の神代文字は、1873-1882年の間に作られた創作物であり、神宮に古代より伝わる物でないと断じた。
    • 『藝林』(藝林會発行)第4巻(1958)
      • 所謂神代文字の論(上):1号P2-24(2-24)
      • 所謂神代文字の論(中):2号P10-29(88-107)
      • 所謂神代文字の論(下):3号P28-51(176-199)
  • 4) 『日本古代文字考』 落合直澄(1888)
    • 神代文字支持派の研究集大成。伊勢神宮宮司の田中頼庸が序文を書き、伊勢神宮禰宜の落合直澄が書き著した。伊勢・神宮文庫所蔵の神代文字については全くふれていないので、神宮に古代より伝わる物ではないとはっきり言える。国立国会図書館デジタルライブラリーで閲覧可。

神代文字の利用

神代文字がいつどのように作られたかはともかく、忍者 など一部の人々の間で外部へ秘伝が流出するのを防止する為に、一種の暗号 として使用されたという主張もある。また、江戸時代に諸侯で使用されていた藩札 の中には、偽造防止のため意図的に神代文字を使用したものもある。

現在でも一部の神社 では 、札、お守り など呪術 的に使用されているようである(伊勢神宮 にも神宮文庫に約百点奉納されている)。

神代文字の影響

神代文字存在説の影響を受けて明治19年(1886年)『東京人類学誌』10号による琉球古字 や明治20年(1887年)『東京人類学誌』18号22号での坪井正五郎によるアイヌ文字 などがあったという説も出された。偽銘帯 との関連を指摘する説もある。

主な神代文字

神代文字と異なるという主張もある文字

神代文字と誤認されることが多い文字


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