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塩杯

柊二郎同じく、憂生も聞いた事が無い。
あくまでも、創作の「塩杯」ですが、
この手のごまかしは、よくやるパターンです。
登場人物自らに「聞いた事が無い」といわせることで、
とってつけた感を軽減しようとする策なのですが由女の策とだぶるため、
違和感がないというか。
由女がうまくきりぬけた。という物語世界にはいれるとともに、
疑念をもたれたら?
策がばれたら?
と、いう、うしろにある綱渡り(かけひき)もかもしだされる。
作中の人物の文中にない心理をにおわすことができる、小道具というのは、
憂生の得意の手法ですが、
この短いやりとり。
塩杯をえらんだ理由。
柊二郎が喉がかわいて、水をのみに座敷牢からでてくるしかないように追い込む。
そして、わざわざ、水瓶の水を捨てるということは、
井戸にでむくしかなくなるわけで、
そこで、由女は柊二郎を井戸につきおとす。
しかないわけで・・。
今までの経緯を考えますと、
そこまでのことを、由女が決断した裏には、
まさに―由女の未練のからさとおぼしめしくださいませ― の
悲しい思いがあったことと思う。
そういう科白をひっぱりだせてこれたのも、「塩杯」のチョイスであったとおもう。

―おう―
柊二郎はそばによった。
―これを―
―なんだ?―
―別れの杯でございます。これで私と貴方は元の他人。
縁もゆかりもない人になります―
―ふむ―
柊二郎はふと、疑念を持った。
―お前が先にのめ―
―はい―
由女は杯を口にふくんだ。
何でもなさそうだと判ると、
柊二郎は杯を受取るとぐいと一気に飲み込んだ。
―がはっ―
やおら、柊二郎はせきこんだ。
―なんだ?これは?―
―神前の誓いはお神酒でございますが、
情が残る別れは塩杯ときまっております―
―きいたことがない。
それに、何もこんなに塩をいれぬとも―
―由女の未練のからさとおぼしめしくださいませ―
―ふん。今更、気の聞いた事をいうわの―
そういうと、未練ひとつもない女になぞ構っていられぬと、柊二郎は久の側ににじり寄っていった。
後も見ず由女は牢部屋をでた。
そして、くどの大瓶はむろん、
ありとあらゆる場所の水を捨て去った。
跡は喉の渇きを覚えた柊二郎が水を得られる井戸に
現れるのを待つばかりであった


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