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白蛇抄17編・書き下ろし12編・短編11編・他66編 掲載中
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2015/10/28
武は中学を出て直ぐ大工になった。
近所の棟梁のとこに弟子入りしたんだけど。
武が20歳くらいの時に職場で事故を起こして、
中指を第一関節から飛ばしてしまっていた。
その武が憂生のところに遊びに来て
指を見せてくれてたんだけど?
「でも、小指じゃなくて良かった」
と、言い出した。
「小指なんてそんなに使わないし・
あんまし役にたたんと思うだろう?」
武は自分の言った事にそうじゃないんだと首を振って
「憂生、ちょっと、紐もってこいや」
と、言い出したんだ。
言われたとおりに紐を持っていくと
武は
「これを引っ張るから、憂生はとられないようにシッカリ握っていろ」
と、謎解きを始める気らしい。
武に言われたとおり
握ってみた。
武が紐を引っ張っても憂生の手の中に紐はあった。
すると、
「今度は小指をたてて、残りの4本の指で
握ってみろ」
条件を変えて同じ事をしてみた。
小指が添えられなかった握りはうそのように
あっさりと武に紐を取らせる事を許した。
「小指がないと力がはいらんのだ」
武の実験?は確かにその通りだと
実証してる。
ちょうど、おふくろが傍にいて、
話を聞いていたんだけど、
あとで、
「小指がないと、力がはいらない。
そうだねえ・・・」
おふくろは小指から子供 を連想したんだろう。
「子供がいるから、力がはいるんだよねえ」
と、ぽつりとつぶやいた。
こんな憂生でも、おふくろには、
「力込めさせる」役に立っているんだと
いってくれたのかな?
なんて、今頃になって、
おふくろのつぶやいた言葉の意味を考えてる憂生である。
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