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思案六方

間合いが詰められると、平助の胸先に木刀の先が止まる。

平助のかまえはもうすでに後勢をしいている。

原田をこれ以上近寄せ、切り込ませないための距離を保つためだけに木刀を構えている。

だが、その体制から反撃に移る次の挙動がつかみとれない。

護り一方になるしかないということは、

相手の攻撃が読めないからだ。

仮に攻撃が読めたとしても、それをかわすことができない。

やっとうの腕が無い。

致命的な欠点の上に、先が読めない。

次の一刀をどうくりだせばよいかも頭で考えるしかない。

ーこれでは、・・・間違いなく切り殺されるー

敵は刀が体の一部になった、まさしく手熟れの士。

ーこのままでは・・・まちがいなく・・・-

脳裏の己の墓に線香がけぶる。

己で己の結末がみえる平助であれば、

新撰組にとってあしでまといになる自分でしかないとも判る。

慟哭を禁じえない平助の木刀が震える。

これが真剣勝負なら、この慟哭さえかんじるいとまもありはすまい。


これが・・真剣勝負なら・・。

平助は木刀をつかんだ掌をほどいた。


からりと音をたてて、平助の木刀が床に落ちた。

「平助?」

原田は均衡をくずしながらも、間合いをたてなおすと、

平助をみつめた。


「これが、真剣勝負だったら・・・・」

ゆがみそうになる顔を精一杯ひきつめてはみたものの、あとの言葉がつづかない。

「平助・・・」

原田の目の中で気弱い男が襟をたて、うずくまっている。

「・・・・・・・」

言葉をなくした平助の胸に去来するものが、「覚悟」とも「諦念」ともみてとれた。


平助は真剣勝負では、自分は死ぬと悟ってしまったのだ。


「ふむ・・」


原田はちいさくしわぶくと平助に一言だけ声をかけた。

「生きるも死ぬも自分次第だ」

つぶやくと、原田はその場を立ち去った。

死を覚悟した男には生きるという意味がつかみとれず、

ぼんやりとしたまなこが宙を迷っていた。


ーいっちょうまえに、死ぬ覚悟をつけられるってとこが、

おまえの凄さだって、ことがわかるまいな。

俺たちは死にたくないから必死に刃をくぐる。

おまえの弱さは往生際のよさのせいだろう。

その往生際のよさを・・・・-


ふと、ふりむいた原田の目のなかで、平助が板の間にかがみこみ

嗚咽をこらえる姿がみえた。


ーそうさ・・誰だって、しにたくないに決まっているー


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