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葵・・・1

 それは、いつごろからだったろう。

彼という存在が

これ以上無いというほど、重く大きな存在になったのは・・・・

ミッシング

無くして判るという言葉もあるが、

私もそうだったと思っていた。


長い時を重ね合わせ、

人生の半分以上に彼の存在があった。

それが、

当たり前になりすぎていたといっていいかもしれない。

ときめきやら

激情が平らになってしまい

私という小さな泉は

ただ、彼の姿をぼんやりと映していただけだったのだろう。

ただ、彼が水を掬うのを待っていただけでもなかった。

流れる雲やら生い茂る木立を揺らす風やら

私は私で、彼以外の存在も十分に感じ取りながら

このまま生きていくことに

かすかな疑問を感じ始めていた。


けして、彼への気持ちがさめたわけでもなく

別の人があらわれるなんてことも

考えることすらなかった。



あの日まで・・・・


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葵・・・2

 仕事から帰る道すがら、

私は必ず、マーケットに寄った。

彼との夕食の材料を買うためだった。

そこに、あの人がいた。

2年近く、ほぼ毎日、同じマーケットに通っていれば、

レジの店員の顔を見おぼえる。

家計を助けるためにパートで働く主婦層ばかりのレジ店員の中にいる男性は奇妙でもあった。

年齢は・・・

私とそんなに変わらなさそうに見える。

結婚していてもおかしくなさそうな年齢でもあるけど

レジの給料で、家庭をささえられるのだろうか?

と、思わなくもない。

それよりも、

なにか、結婚している男性のような、どこか落ち着いたかんじはなく

かといって、

遊び金ほしさで働いている風には見えなかった。



なにか、事情があって、

会社をやめて・・・

とりあえず、食いつなぎで、マーケットでバイトというところだろう。

すると、

実家とかから、かよっていなけりゃ、

アパート代もでないだろう・・・。



奇妙な存在感のせいもあって、

勝手にバックグラウンドをおしはかってみたりもしたけど

人当たりの良い性格が顔にでていて、

疲れているときにマーケットに寄ったときは

しらずのうちに、

その人の笑顔をさがしていた。



それでも、自分ではきがつかず

彼の職業とくらべて、

どこかで、その人を見下していたのだと思う。

だけど、

それも、あとで、気が付いた。



その人に惹かれ始めている自分をセーブするために

見下す理由がほしかっただけだと。





葵・・・3

 彼はいつも優しい。

どんな時でも、穏やかで、

これ以上、理想的なだんなさまはいないだろうと思う。

それが、

逆に、私にパラレルワールドを作らせていた。



なにか・・・・。

不倫のような・・・

この人は実はほかの人の旦那様で

どこか、物寂しい私のことをほうっておけなくて

こっそり、私とあっている。

そんな異世界にはいってしまったような・・・



なんともいえないちぐはぐさがあったのだと思う。

こんな私に申し分のない彼氏がいる、

その不協和音。

こういう人は、もっと、それにふさわしい相手といるべきなのだろう。

時折、かきむしられるガラスの音のような不快感。

自分ではないとも

彼でもないとも

そこにいる、1組のカップルが

お互い相手をまちがえてしまっている。

そんな居心地の悪さと

自分がいるばかりに本来の相手にであえていないだろう彼への罪悪感・やましい思い。



これといって、ときめきもなく

これといって不満はなく

お互いの考え方がなによりも安心できる合致点で

お互いの考えが溶け合う融合を感じることこそが

もう、絶対あり得ないことで

ほかの相手では、起こり得ないことだったろう。

じっさい、唯一無二の相手として

お互いを認め合っていた。



そして、それは、事実であると

確信させられることになった。



それは、また、あまりにも

彼とはかけ離れた、真逆の存在となるあのスーパーの男性から

与えられた確信であった。





葵・・・終

 そして、今、私の隣に眠っているのは彼でなく

スーパーの男性である。



なぜ、こんなことになってしまったのだろうか・・・・。


そのきっかけを思い出している。



仕事でかなり、神経がくたびれていた。

彼もまた、残業が続き、

たまの休みも一日中アパートの中ですごしているだけで

私もまた、うつらうつら、眠って過ごすことがかさなった。

仕事の愚痴は聞きたくない。

それは私が彼にかせたルールだった。

眠りだけが彼の安息だったのかもしれない。

たぶん、話されたら私は耳をふさいだろうし

彼も男のプライドがあったのだろう。

いっさい、仕事の愚痴をはなすこともなく、

私は彼を強い男だと考えていた。

でも・・・。

私が勝手に作ったルールを律儀に守るということは

いいかえれば、

なにもかもが私の思い通りになっているということであり

なにか、傀儡のような存在が

優しくて申し分のない「彼氏」を演じているようでもあり

その傀儡をあやつっているだけの自分でしかないとも思えた。



ふと、きざした思いが

自分に重なった。

会社で操り人形のように仕事をこなしていかねばならない自分と

私に操られて申し分のない彼氏という仕事をこなしている彼と

どこがどうちがうのだろう?



なにか、大きな間違いというレールをしいているのではないか?

彼との時間をパラレルワールドと感じるのは、

そのせいかもしれない。



仕事のくたびれから

気が付いた彼と自分の本当の姿。



ー私、この5年間 なにをしていたんだろうー



そう思った。

そして、

はっきりと思った。

ーこのまま、また、その状態を維持していく?-


その疑問に

このままじゃいけない・・・と。



気が付いたことへのショックと

会社での鬱積



二重にこんがらかった思いを解きほぐすこともできず

惰性と慣習のまま、買い物かごに品物をいれて

レジに並んだ。



知らぬうちに、あの人のレジを選んでいたのも

自覚さえなかった。

レジをうちはじめるとその人がなにかいった。

え?・・とききなおすと

「めずらしいね。はじめてかな?そんなものをかうなんて」

その言葉に私は初めて、気が付いた。

レジを通った籠の中に彼が嫌いだという食材がある。

それを知ってから、私はそれを食べることはなくなった。

彼の前で自分だけ食べることはできなかった。

だから、もう何年も買うことはなかった。


それを、彼はきにしてもいないし、気がついてもいない。

でも、私はそれが本当は食べたかったのだ。

私もまた、彼が作ったルールにしばられた傀儡であり、

よく気を配って、好き勝手しない彼女を演じていたにすぎないのだ・・・



それを・・・

彼も気にせず、きがついていないのに

このレジだけしかしない男が

珍しいものをかうね

はじめてだね・・という・・・



彼がみていた私はなに?

私が見ていた彼はなに?



当たり前になりすぎた枷?

首輪がないと不安な犬でしかなかったわけ?

お互いが・・・

わかりあっていると思い込むことでつくった鎖?



私の前ににゅっとハンカチがつきだされるまで

私は自分が泣き出していることに気が付いていなかった。



レジを通しおえると、その人はメモ用紙に

何か、書いて、おつりと一緒に私に渡した。

「俺のメールアドレス。いやじゃなかったら話きかせて」

慌てて、財布におつりとメモ用紙をしまいこんだ。



みっともない。

その悔しさから自分でも顔が引きつってくるのがわかる。

それ以上に、そのメモ用紙を突っ返したら
その人の立場がなくなって

今の自分以上にみじめだろう。

かすかにそこだけ気にして・・・

メモ用紙をうけとったにすぎない。

だけど、その人は

「心配だから・・・」と付け足した。

言い訳にも聞こえる言葉なのに、

ふっと、心がほどけた。



なにか、本当のやさしさに思えた。

優しいふりでなく

今一番必要な、

心配だから・・というその心・・・。

なによりも、

あなたが大事・・・そういわれた気がした。



きっと、彼と私は

あなたが大事というふりをすることに酔っていたのだ。

あなたのことを大事にしている「自分」が好きだったのだ。

だから、

相手から自分のことを大事にしてもらえないんだときがついてしまったら・・・

そして、また、

自分で自分のことを大事にしていないんだときがついてしまったら・・・



私は車に戻ると、その人が仕事を終える時間を尋ねた・・・・

そして・・・

もう彼の元には戻らなかった。



葵・・・そのあと・1

 彼が・・・突然、帰ってこなくなった私をそのままにするはずがない。

だけど、彼もまた、なにかを察していたのだろう。

最初の時点で

「どうしたの、なにかあったのの?事故?病気?」

そうとでも、心配してくれれば、

私はマーケットの男から、すぐに、

彼のもとに戻っていたかもしれない。

一度だけの癒し・・・

そう踏ん切りをつけて

口を拭って彼のもとに帰ったかもしれない。



だけど・・・・。

確かに彼は誰よりも私を理解していた。

別れの季節が巡ってきたのだと恐ろしいほどに直観していた。

それは、いつか、来るものだとどこかで覚悟しておかねばならないとわかっていても

それが、今なのだと突きつけられると

彼は迷ったことだろう。

迷ったおかげで

なにかあったの?の一言で私を引き戻すチャンスをのがしてしまった。

不器用で鋭敏すぎて、

取り繕うことができない穴をあけてしまっていた。



1週間もたったころに

彼から連絡がきた。

電話に出るとやはり、その一声に

何もかも承知の思いが見えてくる。

「電話・・・出てくれないかと思った。

それより、着拒されてるかと・・・」

電話というつながりでさえも切れていなかったことに涙が浮かんでくる。

この罪悪感。

そんな風に突然切られてもかまわないとも

あり得るだろうと彼の中に予感を作り

私は愁嘆場をさけたのだ。



「友達でいたいから・・・」

それは、私の卑怯な手口でしかない。

「誰か・・好きな人ができた・・ってこと?

俺とやっていけないってだけ?」

二者択一の質問はの答えは残念ながら両方であり

両方でないといえた。



葵・・・そのあと・2

 「あなたのことは好きよ。でも、これ以上つづけていけない」

そんな答えは嘘かもしれない。

「好きな人ができたから、そう思うようになったってこと?」

その答えも違う。

違うけど、現実はそうだ。

ほかの男に、簡単にすがれるくらいの思いしかなかった。

それが本当だろう。

「彼氏・・・できたんだ?」

あの人を彼氏とよべるだろうか?

いや、それよりまえに

彼は本当に彼氏だったのだろうか?

「俺のこと、きらいになった?」

まるで、私の心をよみとるかのような

核心をついてくる言葉が、私を混乱させていた。

「嫌いになんか、なれない」

「だったら、何故?」

彼の混乱を引っ張り出すだけの会話が続くだけ・・・

私の中で何かが堰を切った。

「あなたと一緒にいなかったら、絶対、好きになったりしない相手なの」

それは、事実だ。

「俺への不満から?ほかの男のところにいったってこと?

だったら、なんで、いやなこととか、はなしてくれなかったの?

俺に直すチャンスもくれないわけ?」

そうじゃない。

叫びだしそうになる自分を抑えると

代わりに涙があふれてきていた。

「ごめん・・・きつくいいすぎた・・・

だけど、俺たち、そんな風にお互いに期待できない、そんな仲だったのかって・・・。

俺、この5年、なにをしてたんだろ」

お互いを深め合って、お互いをいつくしんで、お互いがかけがえないパートナーだって

育ててきていたはずのものはなんだったのだろう?

「あなたがわるいんじゃない。私がわがままなだけ。あなたは・・」

とても素晴らしい人だと思うという言葉が喉の中に埋もれた。

「わがままでもいいよ。俺はわがままさえ、いってもらえないってことなんだろ?

今の彼氏にはわがままいえるってことなんだろ?」

私は、きっと、茫然としていたことだろう。

わがままがいえる相手かどうかも知らない。

好きなのか、どうかもわからない。

だいいち、すぐ彼のもとにかえってもよいくらいな

そんないい加減なきもちでしかなかったのに

私は彼の態度により、後戻りができなくなってしまっていた。

「きっと、遅かれ早かれ、こうなっていたんだと思う」

今、うまくやりすごせていたとしても

次の時には、なにかで、こらえきれなくなってしまう。

「俺が撒いた種だってことかよ・・・」

力なく焦燥感いっぱいの投げやりな言葉がかえってくると

それはそれで、彼の心の荒れが苦しい。

「そうじゃないよ。私がわがままなんだよ。申し分のない人なのに・・・」

彼は少しかんがえこんでいたようだった。

「それが、お前のわがままだというのなら、俺は確かにわがままをうけとめてやれていないよな」

小さなため息がもれて彼の言葉がつづいた。

「わかったよ。俺は待ってるよ。おまえの気が済んだら、おまえ、俺のところにかえってくるだろ?」

それは、マーケットの男は一時の激情で

それはただの浮気で

浮気の虫がおさまらないなら、収まるまで待つという意味だろう。

だけど・・・

私はそんな簡単な気持ちで彼にすがったんじゃない。

自分でも矛盾した思いだと考えながら

私は言葉を選んだ。

「あなたは素敵な人よ。とても、大事な人だと思っている。

その大事な人が乗っている天秤ばかりの片一方に別の人がのって

あなたがふりおちてしまうなんて、よほどのことじゃない?」

「だったら、わがままじゃなくて・・本気だっていえばいいだろう?

だったら、俺もサバサバあきらめられるよ。

だけど、お前の態度みてたらな・・・」

そのまま言い募りそうになる言葉を彼はいったんとめた。

「な・・によ?」

促すと彼は最初に謝った。

「そんな風に俺の彼女をぼろにいいたくないんだけど・・

おまえ、はまっちまってるだけじゃないのかって・・・」

それは、彼にとってもいやな発言でしかない。

たぶん、蓮っ葉な女の子だったら、

ーそうね。あんたがへたなのがわるいんじゃない?-

そういいかえされるところだろう。

だけど、私はそれも認めた。

「そうね・・・。それはあると思う。

だって、人間だもの。体があるんだよ。

心の相性もあれば

体の相性があっても不思議じゃないし・・・」

彼が黙り込んでいる。

それは、もっと悲しい事実をねじ伏せようとしているからに違いなかった。

葵・・・そのあと・3

 誰にだってあるだろう。

例えば、そばに寄ってこられただけでも

ぞっとしてしまう相手がいる。

そんな嫌悪感と裏腹に

軽く、抱き寄せられただけで

思い切り心が安らぐ…そんな相手も・・・

どんなに言葉を尽くしてみても、

言葉ではぬぐえ切れない事実はある。

「だから・・・?」

そう・・・。

私は・・いや、私の体は彼を拒否していた。

それを抑え込んでいたのは

大切な相手という呪文のおかげだっただろう。

だけど、何度か交渉をさけていたのを彼は気が付いていた。

「無理強いはしたくなかったから・・・」

彼もそれなりに私に配慮したという事だろう。

「なのに・・・」

行きずりの男のほうが親和力があって、

私を包むこんでしまったとするのなら

「もう、帰ってこない・・と、いうこと?」

俺、そんなにつまらない?

俺、そんなに頼りない?

彼の痛みが聞こえてくる気がしながら

そうなのだと思った。



大切で申し分のない相手だと思い込もうとしていただけ。

私は私の体が訴えていた

心から安らげる相手じゃないんだよ。という事実を

頭でねじ伏せていたのだ。

そして、本当の心は

なにか、つまらない。

何か頼りない。

と、葦原に穴を掘ってそこにこっそり叫んでいたのだろう。



それが、強い風が吹いたあの日。

会社での鬱積がピークになったあの日

葦原に埋めた心を

マーケットの彼が見せつけてきたのだ。



王様の耳はロバの耳



葦原は本当のことを言った。

それと同じように



彼はつまらない。

彼は頼りない。

彼では安らげない。



たった一つの綱が切れてしまったあの日

その綱のもろさを見せつけた相手にすがってしまったのは

悪いことだったのだろうか・・・


葵・・・そのあと・終

 私はどこに流れていくのだろう・・・

終わりにならない終焉をむかえ

始まりにならない出発をむかえ

二人の男の心にわずかながら癒される。

そんなに私もすてたもんじゃない。

かすかにそう思える、やさしさにつつまれながら・・・

私はふたりの男の間の

そのど真ん中にある、時のはざまににげこんでいるだけなのだろうか・・・・。



「今・・・」

彼の携帯にも聞こえたのだろう。

「チャイムがなった・・ね」

彼の顔はきっと苦痛に歪んでいただろう。

それを見ないで済む、携帯の連絡であることだけが

今はよかったといえる。

「そこ、それ、つまり・・・」

言いにくい事実は認めたくないb事実。

だから、私が言う。

「そうよ。彼のアパート」

できるだけ、冷たく、そして柔らかな声で告げる。

「帰ってきたわ。食事の支度をするから、切るわ」

マーケットの彼は小さな1LDKのアパートに住んでいた。

格安物件。

笑いながら、そういった後、

「一緒に住む?こんな部屋で良かったら」

私に告げながら、小さな告白をした。

「はじめて、見たときから気になっていた。

でも、彼氏いるの買い物の中身でなんとなくわかっていて・・・

彼と幸せでいるのなら、それでよいとおもっていた」

私はその時なんと答えたか、覚えていない。

ただ、自分の逃げ腰さえも

この人はわかっていたのだと思った。

もしも、彼のところにもどったとしても

「彼と幸せでいるなら、それでいい」

と、いえる人なのだと思った。



そのひたむきさに

心が解けていった。

自分の心のままに生きられないのはまだしも

その心さえ、見失ってしまうのは、どうだろう。



すなおな人だと思った。

同じように、私も素直に生きようと思った。

たとえ、この先

彼とこの人の間をふらふら渡り歩くような悪女になったとしても

それが自分の心のままなら

すなおに従ってみるしかない。



心はいつか、

答えを出すだろう。



体がみせた答えの通りなのだと

心も気が付いていくだろう。



夕飯を食べながら、私は彼の電話のことを話した。

「うん・・・俺、いいかっこしいのみえっぱりだからさ・・・

お前がでていったら、絶対おいかけないけどさ

きっと、なくだろうな。

俺をなかせただけでさ、幸せになれないのなら・・でていくなよな」

「もう、もどらないよ」

「そういったの?彼に?」

「ううん・・いえなかった・・・」

「愛してるんだよ・・・だから、いえない・・いいたくない」

そういうことになるのだろうか?

「でも・・・」

その続きの言葉をその人はとめた。

「愛していても、一緒に暮らせないこともあるんだよ。

判れたから、もう愛してないって、そんなに器用な人じゃないでしょ?

判れても、愛していてもいいじゃない。

何年たっても、好きでいていいじゃない。

あなたが愛した人じゃないか・・・」

心は自由じゃないか・・・

と、そういいたいんだろう。

「きっと、私、あなたのそういうところ、みぬいていたんだわ・・・」

だから、安らいだ?

だから・・・・

「あ・・・でも、やっぱり、はっきりつたえなきゃだめだわ」

「なんで?」

「だって、待ってるって・・・」

「いいんじゃない?

それは彼の自由じゃないか」

その考え方って、もしかして

「そう思いながら、私のことまってたってこと?」

「ご名答・・待ってた甲斐があったよ」

変な人・・・本当に変な人・・・

こんな女を好きになるなんてことからして

彼氏がいるのわかっていて

叶わないとおもいながら

自分の心に嘘がつけなくて・・・

「軽い女だとおもわなかったの?」

最初のその日のことをいうと

急に真顔になった。

「このチャンス逃がしたら後がないって、俺は必死だったよ」

伝え終わるとやわらかな饒舌になる。

「おまえこそ、オオカミ男かって、おもわなかった?」

思わなかった。

それは、嘘じゃない。

きっと、心と体が丸くつながって

潤いをくれる相手だときがついてしまったのだろう。

「これから、よろしくね・・・」

言った後から涙がぽとぽと落ちてきた。

こんなにすなおに思いがあふれて

未来に向かっていこうなんて思う日がくるなんて

思ってもいなかった・・・。



携帯を取り出すと、

私は彼のアドレスを開いて着信拒否をいれた。



「いいの?」

そっと確かめてくれた言葉がなおうれしい。

「大丈夫。もう・・・戻らない」

そして、もう一言告げなきゃいけない。

「あなたがいるから」



心の中でさようならと

最後の愛しているを告げると

私は

新しい恋人を見つめなおした。



5年の重みを一瞬で吹き飛ばしてしまう。

そんな人だと思った自分の心にすべてをゆだねよう。

心の声に耳をふさがず

生きていこうと決めた。



   ーおしまいー























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