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懐の銭

いつまでも、のんだくれていたって、しょうがねえ。そうは、おもうものの、つい、酒に手が出る。酒に手がでらりゃ、がんらい、気の小さい男だから、なおさら、からいばりでつっぱしってしまう。「つけがたまってんだよ」女将のいやな小言も今日は平気でききながせる。「なに、いってやがんでえ、ほらよ」懐からさっきかせいだばかりのばくち銭をとりだすと、女将になげわたす。「ふ~~ん」女将はしたり顔でうなづく。「なんだよ・...

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小枝

小枝は、目が見えない。 七つの年に 母親の菊と一緒に 高熱を発しった後に 突然、 目が見えなくなった。 小枝の目が見えなくなったことより、 幸太に、 小枝に もっと大きな不幸がおとずれていた。 小枝は視力をうしなったが、 幸太の女房 小枝の母親である菊は病の末に 短い生涯を閉じたのである。 幸太は炭焼きで 生計をたてていたから、 住まいも 炭焼き小屋の横に作っていた。 ここに菊を嫁に貰い、 翌年には、小枝をもうけた...

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チサトの恋

編集長の見解と私の意見が食い違い、説得と説明と疑問と反論。その繰り返しで、へとへとになって帰ってきた。実にささいな・・トリミングの差・・これで・・ああ、まあ・・もういいや。とにかく、私が一歩もゆずらず、印刷所にGOしたわけだ・・し・・あれ?私の部屋・・ブラインドが開いてる?と、いうことは・・・・・。また、あいつだ。大急ぎで部屋の鍵・・・。いや、待てよ・・・。ドアノブをまわしてみる。案の定・・・。ドア...

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ブロー・ザ・ウィンド 

其の一 悲しい事があるとレフィスはよくこのデッキに立った。 風が吹く。雨がどこかで降っているせい。 ちょうど、あの日もこんな天気。 一陣の風が吹いて途端に大雨。 親友だったティオが死んで、三年と二ヶ月も経った。 小さな頃から一緒にいて、二人で航海士になるのが夢だった。 今日は船の仲間の誕生日を祝った。 シャンペンを開けてコングラチレーション。 嬉しそうな彼の顔を見ていたら、たまらなくなった。 誕生日の少し前...

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「空に架かる橋」

***プロト/「空に架かる橋」*** 私がこの病院にきて、もう、3ヶ月が経つ。 ココに来た当初、ここは戦地から、程遠く、 前戦から、やむなく撤退してきた兵士の手当てがおもな勤務だった。 なのに、今、病院は戦地ととなりあわせになりつつある。 世界協定だけはまもられ、核兵器や細菌兵器などをつかわないかわりに、 文字通り、戦地は肉弾戦の修羅場とかし、 いつのまにか、破壊されてはいけないはずの 病院も砲弾を受け 建物の片...

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笑う女 

恵美子。年齢は19になろうか。うすらわらいをうかべるような、口元と焦点のあわない瞳は精神障害者特有のものだろう。 俺達はなにもできない何の意志表示もしない恵美子の笑いをうかべたような口元から、恵美子を笑子と呼んでいた。****メインHPをつくって、そろそろ、1年になる。あれから、ふえたものといったら、カフェ日記と、空に・・と、新之助シリーズ?くらいか。白蛇抄とso2ほかを1年くらいの間に書き上げた事を思うとまっ...

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踊り娘

剣の舞を踊るサーシャの足がおちてゆくそのポジションを見つめ続けた男はやがて、イワノフの手をシッカリと、握り締めた。***出番を控えている義姉であるターニャの元にサーシャの事実をつたえにいくことは、つらいことでもある。だが、キエフの大物舞踏家が、サーシャを預からせてくれという。姉妹でありながら、ターニャはこんな、地方の劇場まがいの酒場の舞台から、抜け出ることも出来ないにくらべ、妹の舞踏の技術は世界を相...

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ぬながわひめ

オオナモチとぬながわひめやってきた男は・・。自分をおおなもち、だと名乗った。多くの名を持つ男だという。それは、また、多くの国をおさめている証である。「出雲では、なんとよばれていることでしょう」女、奴奈宣破姫の問いに男はにまりと笑ったように見えた。「ここでの名前があればよろしいでしょう」すなわち、この国もおおなもちが治めるということであり、奴奈宣破姫、自らが統括する国の首長になるということは、奴奈宣...

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白砂に落つ

白砂に落つ。・・・・・1 「とっつあん・・・」張り付け台に掲げられた佐吉の目に竹縄の向こうの義父の定次郎がみえた。女房殺し、が、佐吉なら大事な娘を殺された父親が定次郎だろう。娘が犯した不義をおもわば、佐吉の罪がかなしすぎる。「おまえが、わるいんじゃねえ」定次郎の横で泣き崩れる弥彦にかける声がなんまいだぶと、かわり手があわせられてゆく。佐吉は女房殺しの罪で獄門張り付けになる。お千香が、実の亭主に殺さ...

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壬生浪ふたり・俄狂言・「恋語り」

久方の休日であるというのに総司は、書庫の中である。 一冊の本を手に取ると其の場所に立ち尽くしたまま、 書かれた流暢な文字に目をおとしてゆく。 「沖田はん。お昼どすえ」 した働きのお勝が呼びに来た前で、 総司は本を書棚に戻すと大きな伸びをしながら 「もう・・・そんな刻限か」 と、笑った。 「お好きどすなあ」 朝に総司を見たきり、それきり部屋にいなくなった。 また、書庫の中にはいりはったと、お勝は見当をつけてい...

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宿根の星 幾たび 煌輝を知らんや

領国との均衡が崩れる。君主の崩御を表ざたにするには時期が悪すぎた。渤国の君主である量王の心そのまま、外海を境に眼前の渤国は微かな霧にけぶりその姿を現さない。いま、天領の地でさえ渤国の間者が入り込んでいる。御社の瑠墺でさえ、血生臭い匂いをかぎ、君主の元に参じてきていたが、間者の横行は目に余る。一説に君主の崩御の裏にも間者の企てがあったともいう。齢五十五。死に急ぐ年齢ではない。毒を盛られたともいう。急...

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お登勢

夜中にひいぃと切れ上がった女の声が聞こえた気がして お芳は布団の上に起き上がった。 気のせいだったのだろうか?と、思うより先に 二つ向こうのお登勢の部屋あたりの襖が やや、荒げにあわてて開け放たれ 廊下を忍び走る人の気配を感じた。 「え?」 お登勢に悪さをしようと、店の誰かが忍び込んだのかもしれない。 だが、お登勢は、八つの歳で此処に来たときから「おし」だったのだ。 と、なると、お芳がさっき目を覚まされた...

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