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僕はRyoukoと暮らしている。

戦争が終って2年。

日本はどん底だった。

肩を寄せ合う温もりが欲しい。

二人が同じ部屋に住まい、お互いを求め合う日々が続いた。

4畳半一間の小さな部屋に肩を寄せ合い、当り前のようにRyoukoを求めRyoukoを抱いた。

その瞬間が二人に生きている証を与えてくれた。

僕らの戦後はこうやって始まったんだ。

小さな町工場に働いていた僕はいつも脅えていた。

仕事は相手側の都合次第。

仕事のないときは部屋でふらりと寝そべるしかなかった。

Ryoukoも似たような者だった。

僕たちは世間ではまだ幼い少年と少女でしかなかった。

かき集めた金を前に僕たちはいつも溜息を付いた。

小さな部屋を借りる金を払うと後はいくばくかの小銭・・・。

暮らしはいつも貧窮を極め、僕はやるせなくRyoukoの肩を抱いた。

抱いた手はいつしかRyoukoを貪り、僕らは一つになる時を共有しあった。

Ryoukoを毟り取る僅かな時間に浸りこむ事が僕らの明日への活路だった。

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蛙-続編ー

Ryoukoがでていった。

僕はRyoukoがいつも座っていた空間を
ながめていた。

Ryoukoはもうここに、居なかった。

Ryoukoはもう、ここには戻ってこない。

Ryoukoは
「僕のRyouko」である事を止めた。

僕はRyoukoのすわっていたあたりの
畳に頬をおしつけてみた。

Ryoukoの悲しい、せめぎがそこに染み付いている気がした。

堕胎の後。
僕の手を拒むRyoukoがいた。
命を費えたRyoukoは僕を拒む事で、
何かを取り戻そうとしていたに、違いない。
僕は何も与えられない自分を見つめる。

Ryoukoは女であることより、
ありきたりの幸せをつかめない事に打ちひしがれていた。
僕はなすすべもなく
Ryoukoを待った。

Ryoukoがそのかいなを僕に伸ばしてくる事を。

どうにもならない寂しさがRyoukoをくるみ、
僕を求めるRyoukoが
Ryoukoを占領する。

そのときだけがRyoukoをうめてやれるのだと、
僕は信じていた。

だけど、Ryoukoは出て行った。

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パンパンとチョコレート

パンパンとチョコレート・・・1
僕がこんな、防空壕にすむようになったのは、
あの空襲で家を失い、
妹を、母を祖母を失ったからだ。

親戚も・・。
焼きだされ僕を引き受けるどころじゃない。

おなじ境遇の少年達にであうまで、
僕は町をうろつき、あげく、くたびれた身体を
駅舎の中にやすませていた。

「おい。おまえ」
僕を見つけた良治は
僕が孤児になってしまったことを
直ぐ、見抜いたとあとで教えてくれた。

僕は
良治に手招かれるまま、良治の後をついて歩き、
この防空壕で
暮らすようになった。

防空壕の中には
ほかにも少年が居て、
皆で助け合いながら
ここで暮らしているんだといった。

防空壕の中は
けっこう、広くて
僕らは
はじめ、その地面に
無造作に寝転がって
睡眠をとっていた。

だけど、
10月の声をきいてから、
僕らはじべたに眠るに
余りの冷たさをおぼえ、
手分けして
あちこちからりんご箱を
あつめてきて、
地面より一段高い
居間をこしらえた。

僕らは
こっそり、畑のものを盗み
それでもたりないから、
相変わらず、虫や蛙もたべた。
近くの沼から、
鯉やフナも釣った。

僕らの仲間の
恭一が死ぬまで
僕らは
そんな生活を続けていた。

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俺の胸の中の陽だまり (ー神戸にてー)

俺。
こんな昼間に
それも、こんな繁華な場所に存在しているのが、
ふさわしくない浮浪者。

駅前のロータリーを利用して作られたこの公園は
駅の両肩をつなぐ、近道だから、
けっこう、通り抜ける人間が多い。

その公園のベンチに俺は寝転がってる。
傍らを通り抜ける人間は
浮浪者の俺から、出来るだけ離れて、
通り過ぎてゆく。

鬱陶しい存在だろう。
うろんな存在だろう。
見るも汚い。
見なかったことにしようと
足早に遠ざかる人達。

向かい側のベンチは
俺の存在のせいで、
誰にも座られずに、
秋の陽だまりの中で
ぬくもっているだろう。

本当ならそこに腰掛けて
ハンバーガーをぱくつくだろう人間も
眼の中の風景に余計者がいるだけで、
其の場所をさけてゆく。

だけど、
足早に通り過ぎる人間が
一同に
俺の寝転がるベンチの下を凝視してゆく。
そして、俺をはすかいに見ると、通り過ぎてゆく
かかわりたくない。
そんなふうにいそいでゆく。

ベンチの下に、何かある。
その何かと浮浪者の取り合わせが
異質なんだろう?
子猫でもすてられているか?
子犬でもねそべっているか?

浮浪者の持ち物にふさわしくない
余りに可愛いペット。
ありえない取り合わせ。
どうせ、そんなとこだろうと、
俺は頓着なしに陽だまりのベンチで、
仮眠をむさぼっていた。

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神戸にて・・・

久子は30そこそこだろうか?

だけど、こんな浮浪暮らしのせいだろう、肌につやもなく、

髪も無造作にたばねてるだけだから、

いっそう、ふけて見える。

「あんた・・・若いのに・・こんな暮らししなくても、いくらでも、職がありそうなのに・・」

人のことはいえないとふふんと鼻をならし、俺の傍ににじりよってきた。

「あんたさ・・あっちのほう・・どうしてるんだい?これかい?」

妙な手つきで、自慰行為をまねてみせると、

さっきより、いくらか、若くみえるのは、話がつやめいてきたせいかもしれない。

「寂しいだろ?あたしで、よけりゃ・・」

久子が欲求の強い女だということは、俺も良く知っていた。

浮浪者の何人かに身体をひらいて、「やらせてる」

浮浪暮らしをする男は日銭を稼ぐのもやっとなんだから、

久子のもうしでは、「おんの字」でしかない。

女をかうこともできない暮らしと心を寄せる人のない暮らしが

心の底に寂しさを寄生させる。

ひととき、久子の肌におぼれるのは、たまらなく、人恋しいときだろう。

「ねえ・・」

至福の時をわかちあおうと、久子が俺の手をひいて、自分の胸元に触れさせた。

浮浪暮らしのなか、一時の優越感にひたれる「ほどこし」

久子は自分の存在価値をそこにみいだしていたのかもしれない。


河本さんは俺が浮浪暮らしをし始めたときに

浮浪暮らしのノウハウを教えてくれた人だった。

こんな暮らしも、もう、13年に成ると河本さんは言った。

どんな事情で普通の生活をすててしまったのかしらないが、

おおかれ、すくなかれ、浮浪者には、なんらかの哀しい傷がある。

その傷がゆえに、浮浪暮らしを選ぶのだろうから、

その傷はよほど深いものだと想う。

俺も自分のアイデンテティが崩れ去ったショックからたちあがれずに、

こんなところにながれついてしまったわけだから、

河本さんの傷にふれてはいけないと想った。

ひいては、俺が自分の過去に触れて欲しくないから、

河本さんに対してそうおもったに過ぎないのかもしれない。

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ノンちゃんの犬

今日は正直、まいった。

私はご存知の通りペットショップの従業員。

いつもの通り、子供連れのお客さんの対応にいささか、辟易しながら

犬たちの面倒をみていた。

ぼんやりした様子の子供をつれたおかあさんが入ってきた時

私はすぐに、その子が知的障害者だとわかった。

「あのう・・・」

他の従業員はそそくさと奥にはいっていく。

おまけに私がそのおかあさんとばっちり目があってしまった。

覚悟を決めて、応対する。

「あのう・・。このこ、知的障害なんですよ」

説明されなくても、見ただけでわかる。

だから、なんだというわけじゃないけど、

正直、嫌な予感をもった。

「友達もいなくて、猫を飼ってるんですが、猫はすぐ側からはなれるので、

この子が猫をつかまえようとして・・・」

見れば、その子の腕や顔に猫からのかき傷がおびただしい。

だから、なおさら、予感が的中しそうに思える。

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柿食え!!馬鹿ね。我鳴る成。放流児

プロト

「遅かったのね」

先に床についていた私を起こしにきた夫の用事をしながらたずねてみる。

「ああ、部長、おいおい、なきだしてさあ」

「ああ・・・・。無理ないかもね。40年勤めてきたんだものね」

誕生日で定年退職になった部長の送別会を部長宅に招かれてのことだった。

「部長のとこにはよくご馳走になりにいったけどさ。

もう、これで最後だなあって、みんなもらい泣きさ」

「うん・・・で?」

「ああ、帰りに奥さんがな」

剥き終えた柿にフォークをそえて夫の前においたから

「で?」が、この柿はどうしたのとたずねられたと夫にはわかった。

軽い酔いに柿の甘さがちょうどいいのか夫の食べっぷりにあわてて次の柿をむきはじめた。

小さなため息をついて、夫は柿をまっていた。

「もう、あんな人はいないなあ」

公私にわたって部下を慮る。人情家というのだろう。

「俺なんか誰もついてこないぜ」

「もう、今の時代はそうなのよ。仕事をこなして出世して、稼いだ金で家庭を守るのが、精一杯」

「なんか、あじけないよなあ・・」

「でも、そうじゃない人にであってるだけ、・・・・・逆につらいかな?」

「部長みたいな人になれない自分って意味で?」

「ううん。今度、下を見るとき・・・」

「ああ・・・」

殺伐とした人間関係しかしらない若者。冷めた世代といわれる若者に期待をもつ寂しさといっていいだろう。

「せめても、仕事で人の感情を上手に掬い取っていくということがどういうことかみせていくしかないんだろうなあ」

「うん・・・」

うなづいて、剥いた柿を夫の前の皿に置くと私もひとつつまんでみた。

そして、柿の甘さが夫の言葉を反芻させ、

私の脳裏に私の感情を上手に掬い取ってくれたがんちゃんが浮かんでいた。

ちょうど、柿をたべたせいかもしれないと

あのときのがんちゃんのことを思い返していた。

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思案中

かれこれ、6年のつきあい。

別れたはずが焼きぼっくいに火がついて、

お互い、家庭がある身の上を承知の上で忍び逢う。

いい加減にしなきゃと思いながら、

共に重ねた時間が増えるほど、どっちが、亭主で、

どっちが、情夫か・・。

この世が仮の宿なら、今の亭主も仮の者。

本当はあの人と一緒になれなかっただけで、

魂と心はあの人のものなんだとおもっていた。

それが・・。

友人がきっかけだった。

彼女にだって、私はなにもしゃべったことがない。

「ねえ、行こうよ」

よくあたる、霊感占い師がいるとかで、彼女は私を誘う。

「いやよ。なんだか、気味が悪い」

断わったけど、彼女は引き下がらなかった。

「だから、一緒にきてくれるだけでいいから、外で待ってくれればいいから」

もしも、不幸な未来がくるとでもいわれたら、こわくなるじゃない。だから、一緒にきてほしい。

が、彼女の言い分だった。

「そんな不幸を回避するアドヴァイスができない占い師なら、なおさら、いかないほうがいいんじゃない?」

「違うわよ。回避できるからこそ行ったほうがいいの。ただ、やっぱり、悪いことをいわれたら、ショックじゃない」

そんな会話が元で、彼女にしぶしぶついていったけど、何度薦められても私がみてもらうのは、断わった。

霊能者ならきっと、私と彼のことだって、判る。

あげく、別れなさいなんていわれたら、たまらない。

どんな不幸がきたって、別れたりするもんか。

だったら、聞かない方がいい。

私だって、良くないことは重々承知の上。それなりの覚悟で通してきてるんだから・・。

そして、彼女だけが見てもらった。

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「いつか、見た夢・・デ・ジャブ」

沙織が手にしたストップウオッチを止めるとじっと時計を覗き込んだ。
通り過ぎた隆介の乗るフォミュラーのエキゾスノートの音が遠ざかると
続いて走り去る車の爆音が隆介の軌跡をけしさってゆく。
『いい・・タイム・・』
つぶやいた沙織が急に顔を伏せた。
「どうした?」
矢島が沙織を覗き込んだ。
「よくないのか?」
隆介のタイムがはかばかしくなかったのだと思ったのである。
「死…死んじゃう・・隆介が死んじゃう」
沙織が叫ぶように言うと、むこうのコーナーから黒煙と炎が上がるのが見えた。
「え?」
既成視が直前に現れる娘である。予感というか予知といってもよいかもしれない。
「う・・嘘だろ・・」
矢島はこぶしを握ると黒煙を上げるほうに向かって走り始めた。

隆介があの事故であっけなく逝ってしまい、
俺は
その後、
隆介の墓の前でじっと動かない沙織を
見つけた。
俺を見つけた沙織が
ひどく青ざめた顔で振り返り
「矢島さん」
と、俺を呼んで立ち上がったとたん、
沙織の身体が傾いた。
あわてて沙織のそばに駆け寄り
沙織を支えたとき
俺は沙織の瞳に浮かぶ悲しみが
隆介を失ったことばかりじゃないことに気がついた。

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風薫る丘の麓で

僕が見た憧憬は椅子の下で遊んでいる仔猫だった。

かあさんのうしろ姿しか、もう僕はおぼえていない。

なぜ、かあさんがいなくなってしまったのか、

僕は知らないまま大きくなった。

あの頃、仔猫だった、白いミュウはもう、よぼよぼのおばあさんになって、
縁側でひなたぼっこをしている。
飛んできた雀の子にさえ、興味をしめさず、
よびかけても、うずくまったまま、耳さえうごかさなかった。

椅子のしたで遊んでいたミュウの姿をくっきりとおもいだすことができるのに
椅子にこしかけていたのが、かあさんだったかさえさだかじゃない。
さだかじゃないかあさんが椅子にすわって、なにをしていたか、
どんなかっこうをしていたか、
もじゃもじゃした灰色のかすみがかかって、
やっぱり、僕にはかあさんのうしろ姿しかなかった。

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底・・・で

悠貴・・・。
倖・・・。
だいたいが、俺のせい。
盗人というのは、管理者が財産から目をはなす隙をいつでも、見計らっている。
俺は、犯罪心理学に精通しているわけでもなく、
まして、
俺自身、悠貴という管理者が倖という財産から
目を離す隙をいつでも狙ってる盗人の心をもっているとさえ気が付いてなかった。
だから、俺は今、自分の心にうろたえてるし
なによりも、俺は自分がひどく、卑怯でしかないと思う。

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